★RAINN☆のチラシの裏

チラ裏とかに書いてある酷い落書きをageるだけのとこ

The Sealed Swordman "K"

本小説はムツケーで投稿したやつです
※思いつき次第細かい設定とかおまけの話とか追加する予定

305 名無しっ子 2018/10/01(月) 03:06:49 ID:8h9M8.Mg0
https://i.imgur.com/HXG19Iy.jpg
決まらないならここで聞けばいいじゃないって言われたので現段階で決まってる物をひとまずルーズリーフ片面に書く
原型留めてないのはいつもの癖

今作りかけのが完成したら3D環境の練習も兼ねてこのゲーム作りたい…

そして自分の中でのリンゴ飴先輩の扱いが会長と似たりよったりになってきてるという

https://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/internet/23070/1536226933/305

本編

The Sealed Swordman "K"
Written by ザマコスキー(仮) (@Garbage_FuckAd)

Stage1 -目覚め-

(ハァ…ハァ…)「流石にもう振り切れないンマ…!」
"立入禁止区域"に鳴り響く足音と警報。「タチサレ…タチサレ…」無人ラブドール型警備ロボに追いかけられるけんま。
(ひっ…ひとまずあそこに隠れるンマ!)やっとの思いで見つけた部屋に転がりこむ。しかし無残にも別の警備ロボに見つかってしまう。
「イブツ…ハイジョ…ハイジョ…」感情の感じられない声で警備ロボが動き出すと、けんまは慌てて銃を構える。
「こっ…こっちに来るなンマ~!!」「ハイジョ…ハイジョ…」「ンマ~~~~っっ!!!」しかしけんまがいくら銃を乱射しても一発も当たらない。(お…終わりンマー!!!)
けんまがそう思った次の瞬間、遠くで何かが割れる音がした。同時に警報が鳴り出した。「ビーッ!ビーッ!制御装置破損!制御装置破損!」
不測の事態に驚いたけんまだが、偶然眼の前の警備ロボの動きも止まった。後ろからは新たな警備ロボが来ている。
けんまはまた奥へと走り出したが、すぐに行き止まりに突き当たってしまう。警備ロボに追い付かれ、今度こそ駄目だと思ったその時

「まだコイツらが居たのか…しつこい奴らだな。」

けんまが声のした方向を向くと、誰かが立っていた。けんまは目を疑った。(あれはカナチ…!?文献上の存在のはずンマ!?)
そう思った矢先、カナチはこちらを向いて「おい、ソレを貸せ」そう言ってけんまから銃を取り上げると、正確無慈悲に警備ロボを撃ち抜いてけんまが来た道を進む。
「あの銃を片手で扱うンマか…」けんまはカナチの強さに驚きつつも、彼女の後を追っていく事にした。
けんまは銃を取られたので何か使えそうな物を探すと、さっきの流れ弾が当たった跡がある制御装置らしき物の陰に1本のビームセイバーを見つけた。
「とりあえずこれがあれば何とかなりそうンマね。ただこれはまだ使えるンマか?」
そう言ってセイバーを起動した瞬間、「ンマっ…!?なんて出力ンマ!!」セイバーの出力が規格外なまでに高く、腕を持っていかれそうになった。
「…とりあえずコレは最後の手段として取っておくンマか。」そう言ってセイバーを持ってカナチの後を追うけんま。
彼女が通った後は死屍累々と化しており、全ての警備ロボが破壊されていた。
ようやくカナチに追いついたけんまだが、後ろから親玉と思われる大物が近づいていた事に気づかず捕らえられてしまう。
「やめろ!離すンマ!!」けんまは必死に抵抗するも無駄で、それどころか銃弾すら通らない。「やめろ~~!!離すンマ~~!!!」
けんまが必死に暴れたが、その時に誤ってセイバーを手放してしまう。「ンマっ!?僕のセイバーが!!」床にセイバーが転がる。「ツブス…ツブシテヤル…」低く唸るように呟くロボット。
その時何かを思い出したかのようにカナチがセイバーを拾い、ロボットに斬りかかる。
「くたばれッ…!!」

―衝撃だった。カナチがロボットの腕を斬り落としたのもそうだが、それよりもあの高出力セイバーを扱える事を。それも"片手で"。
腕を斬り落としてけんまをロボットから離すと、カナチはもう一度斬りかかる。
「とどめだッ!!」腹部を切り払うとロボットは動かなくなった。
ロボットが破壊されたのを確認してからカナチは走り出す。
「とりあえず出口まで行くぞ。アンタ、名前は?」「僕はけんまンマ。」「けんま、か。よろしくな。封印を解いて感謝する。」そう言って出口へと二人は走り出した。

二人が出口まで何事もなく辿り着いたと思ったら、今度はなんと4~50体の警備ロボを引き連れた1匹のリスが立っていた。
「よう、お前ら。よくもワタシの"秘密基地"を荒らしてくれたクマね。」「お前は確か…」「ゾーノだ。封印された影響で記憶まで飛んでいるクマか。」
二人が強烈な殺気を放ち、睨み合う。あまりの殺気にけんまは逃げ出したくなる。
「まぁいいクマ。お前はここで終わりクマ。やれ!お前達!」そう言い放ってゾーノは警備ロボを一斉に起動した。
警備ロボがカナチを取り囲む。「そこのちっこいのは後回しにするクマ。まずはコイツから仕留めるクマよ!」ゾーノが攻撃命令を下す。

「雑魚共が…おとなしくスクラップになってろ!!」
カナチがセイバーを振り回すと、あっという間に囲んでいた警備ロボが全て真っ二つに切断されていた。
「クマッ!?Zセイバーは別で封印されていたはず…!?」「さっきから封印封印うるさいな。生憎こちらは寝起きで機嫌が悪いんでな。どうせお前のソレは遠隔監視機マリオネットだろ?だったら斬らせろ。」
カナチは強烈な殺気を纏って斬り掛かる。ゾーノもバスターを構えようとするが、それよりもカナチが突っ込んでくるほうが早く、バスターごと真っ二つに切断された。
「やるじゃねぇか…だがお前を追う者はまだ…」そう言いかけてゾーノは壊れた。カナチ曰くアレは遠隔操作で動いてるだけなので斬ったところで大した損害にはならないらしい。

「とりあえず自分はこっちの基地に戻るけどカナチはどうするンマ?」「ならオレも同行させてもらおうか。流石にここに居続けるのはマズい。」
そういって二人は基地に戻った。彼女らの戦いはまだ始まったばかりだ。

Stage2へ続く

Stage2 -凍結-

―「それで封印される前はどうしてたンマ?」「…確か"A.C."と名乗る奴を追っていた。ただ知らぬ間に封印されていたらしく、アンタがオレを開放するまで封印されていたのは分からなかった。」
「"A.C."…」"A.C."という名前にどこか引っかかるけんま。
「ハイ、健康診断は終わりンマ。50年も封印されてたのに問題一つ無いというのも凄いンマ。」先程していた話から、カナチが封印されたのは今から50年くらい前との事だ。
あそこは見た感じコールドスリープ施設ではなさそうだがどうやって封印したのかという事をけんまが考えていた時の事だった。
突如パソコンに大量の警告と共に通信が入る。

「どうやらウチの"お宝"をアンタらが盗んだらしいな。」通信が入ると共に部屋に緊張が走る。
「…その声は"A.C."か。」「ご名答。ウチが"A.C."や。何や、覚えとるんか。」「お前らの言う"お宝"はオレの事か。」「せや。だから"返して"ほしいんや。」
「!! カナチをお前には渡さないンマ!!」「なんや、"リス"から報告のあった"ちっこいの"もソコに居るんか。」「けんまはちっちゃくないンマ~!!」
「またえらい可愛らしい反応やな。まあ、今日中に"返さない"となればこちらも行動に出るとするわ。今日"返す"気は無くても流石に明日になればその気になるやろ。
じゃあな、"お宝"と"ちっこい女子さん"。」「けんまは雄ンマー!!」切れた通信に向かってけんまが叫ぶ。

―「とりあえずカナチ的にはどう思ってるンマ?」「オレは奴の下に戻る気は無い。例え明日から不幸が訪れようとも―」カナチがセイバーを握る。「この剣で叩き斬るまでだ。」
「分かった。それならボクも全力で応援するンマ!」「さっきの話だと今日は向こうが攻めてこないだろう。オレが明日に備えて今日は休ませてもらう。」
「分かったンマ。戦士にも休息は必要ンマね。」

その夜
(感覚は今日の鍛錬の感じだと鈍ってはなさそうだ。明日からはしばらく休めそうにないし今日は早めに寝ておくか…)風呂上がりにカナチはこんな事を考えていた。
「けんま、風呂から出たぞ。」「50年ぶりの湯船はどうだったンマ?」「何か不思議な感じだったな。冷めないうちに次入りなよ。」「今やってるのが終わったら入るンマ。もう寝るンマ?」
「ああ。どこで寝ればいい?」「2階の一番奥の部屋に布団を準備しといたンマ。」それを聞いてカナチは床に入った。
「さーて、大急ぎで仕上げるンマね…」けんまは再び目の前の仕事に向かい合った。部屋の明かりは深夜になっても付いていた。

翌朝
「ふぁー…」カナチが欠伸をしながら2階から降りてくる。「おはようンマ。今朝ご飯を用意するから待っていてほしいンマ。」けんまが急いで台所に向かう。
「けんま、その目…」「カナチのためにそこのアーマーを大急ぎで完成させたンマ!」「オレのためにそこまで…」けんまが座っていた椅子の前にはアーマーが一式置かれていた。
「カナチ、コーヒー飲むンマ?」「…じゃあカフェオレでお願いしたい。」大急ぎでけんまがコーヒーを入れる。
「これ食べて今日も頑張ってほしいンマ!」時間の割に豪華な朝食をけんまが持ってきた。食卓に付いてテレビを付けると衝撃の光景映されていた。
なんと街一帯から人影が消えており、それどころか要塞まで築かれている。それも1箇所だけでなく、全国に4箇所も。
「"A.C."が言っていた事はコレの事か…」「そうみたいンマね。」「奴の事だ、まずはオレら以外を潰すとこを見せしめにして牽制してくるのだろう。」「ンマッ!?直接ボクらを叩くんじゃないンマか!?」
「奴の性格から考えると恐らく最初からこっちを攻めてこないだろう。」「てっきり最初からこっちを攻めてくるものって思って迎撃装置のメンテナンスまでしたのに無駄になったンマ…」
「一晩のうちに無茶し過ぎだぞ、体壊すぞ?」「でもカナチの事を想ったら居ても立っても居られなかったンマ…」「もういい、一旦休め。俺はまず札幌にある要塞から叩きに行く。」
「分かったンマ。ご飯を食べたら転送装置を準備するからそれを使うンマ!」心配そうに見るカナチとそれを気にせず張り切るけんま。けんまは食事中も常に何かを調べているらしく、パソコンの画面から目を離さなかった。

「よし、まずは札幌の要塞から叩くか…」カナチがアーマーを着込みながら呟く。「カナチ、これも持っていったほうがいいンマ!」「何だソレは?」カナチに小さな物を手渡す。
「小型の酸素ボンベンマ。調べたらどうも要塞内で水没してるところがあるらしいンマ。」「そうか、それなら遠慮なく使わせてもらう。」カナチが転送装置の上に乗る。
「座標入力完了ンマ!いつでも準備出来てるンマよ!」「了解、こちらもいつでも出れる。」「カナチは強いから絶対負けないンマ!」「そう言われると何か照れるな…」
「それじゃ行くンマよ!転送!」けんまが勢いよく転送装置のスイッチを押す。「…I'll be back.」転送される瞬間にけんまに一言かける。
カナチが転送されるのを見届けて倒れ込むけんま。「昨日は十分頑張ったから少し休むンマか…」けんまは側にあったクッションを枕にして眠りだした。

(ここがその要塞か。けんまはあの様子だし多分もう寝てるだろうな。一人でも頑張らないといけないぞ…)現場に到着し意気込むカナチ。
さっそく屋上から中に入る。場所は札幌市にあるショピングモールだ。多くの人が集うこの場所を要塞化したのには"A.C."の思惑が垣間見える。
中に入ってみると、いたる所に巨大な氷が生えていた。行く手を阻むように床から、天井から、壁から。
エアコンが止められているのか、外よりも気温が低い。早いとこ主を倒して帰りたいところだ。
しかしカナチが歩みを進めると、思わぬ敵と遭遇した。
(あのアーマーの下に見えるのは生身の人間… という事は一般人か!?)カナチは驚愕した。"A.C."は現地で捉えた市民を手駒にしているのだ。
「一般人相手にセイバーでぶった斬る訳にはいかないな…」カナチは通信機でけんまに相談しようとした。しかし幾ら待てども出ない。
(やはり寝てしまったか… 少々かわいそうだが起こすしかないな…)カナチは通信機に叫ぶ。「おい、けんま!起きろ!!」
管制室では、けんまがカナチの呼びかけに驚いて起き上がる。「ンマッ!? カ、カナチ、どうしたンマ!?」急いでモニターに向かう。
「寝ていたところ悪いな。ちょっとアレを見てくれ。」モニターに敵兵の姿が映る。「あのアーマーの下は生身の人間のようなんだ、こっちはどうすればいい?」
「えーっと確かあれは…」急いでまとめた資料を読み漁る。「あれは一種の洗脳装置ンマね。」「洗脳装置… また物騒な物だな。」
「胸部にコアがあるンマよね。」「ああ。」「あの装置はコアを破壊すれば機能停止するンマ。そして左太腿のホルスターの中に入ってるマーカーを付けてほしいンマ。」
「コアを破壊してマーカーを付ければいいんだな。」「そうしたら後はこっちが全部回収するンマ。」「分かった。なるべく多くの人を助けるように心がける。寝てるとこ起こして悪かったな。」
「大丈夫ンマ。こっちも受け入れ体制を準備しておくからよろしくンマ。」
洗脳兵は無力化すれば救出出来る事は分かった。後はただひたすら突き進むのみだ。
道中は吐く息が白くなるほど寒い。だがカナチはそんな事も気にせず来る敵のコアを破壊する。中には武器を持った洗脳兵も居た。
しかしカナチはここである事に気づく。(妙だな… 敵に男性が混じってる気配がしないぞ…) "男性型"のロボットは混じっていても、"男性"が居なかった。
氷だらけの売り場を命ある者は救い、命なきロボットは斬り払いながら進む。ロボを斬った際に飛散るオイルが余りの寒さに凍りつく。

1階まで降りると一際大きな敵が待ち構えていた。「さしずめルームガーターと言ったところか…」敵が湯気を上げて動き出す。
「フロストアーマー キドウ… テキ サッチ ハイジョスル…」フロストアーマーの持っていた物が凍りついて剣と化した。
カナチがセイバーを構える。相手も剣を構える。その場に緊張が走ったが、破られるのも早かった。
次の瞬間、フロストアーマーが一気に距離を詰める。(あの巨体であの速度だと!?)とっさにカナチは後ろに飛び退く。
(クソッ!こんな程度で撤退する訳には…)双方の距離は徐々に縮まっていく。気づけばカナチは壁際にまで追いやられている。
(流石にコイツを飛び越せそうにないな… せめてあのヒーローのような力があれば壁キックで飛び越えられるのだが…)だがカナチはまだ気づいていなかった。既にアーマーの力を使っている事に。
「無駄だと思うが、やってみる価値はあるか…」カナチは後ろに飛び退き、壁を蹴った。その時だった。
脚部のアーマーがカナチを上跳ばせた。「!!」アーマーの力をカナチは理解した。これはただのアーマーでなく、強化装置でもある事を。
カナチはフロストアーマーの頭上を飛び越え、後ろに着地した。(そうか!オレは"上"も使えるのか!なら!)
フロストアーマーとの距離を一気に詰める。氷の鎧を斬り裂く。フロストアーマーがよろける。だが負けじと剣を振り下ろしてくる。
カナチは再び壁に向かって跳んだ。壁を使い、相手の裏を取る。鎧の一番弱そうな所を斬る。切っ先が吹いた湯気ごと斬り裂く。
フロストアーマーは最後の抵抗と言わんばかりに大きく剣を振り回した。が、余りにも振りが大きく、下をくぐられてしまう。カナチは股下から脚部関節を斬り裂いた。
敵はその場に倒れ込み、ついには動かなくなった。「このアーマーを一晩で作り出すとは… けんまも只者ではないな。」そう言ってカナチはまた進みだした。

地下に降りるとフロアが丸ごと水没していた。電気配線なんかお構いなしの状態だったので所々で漏電している。カナチはけんまから貰った酸素ボンベを装着して水の中に潜った。
この凍えるような寒さで水中はさぞかし寒いかと思いきや、水中はかなり温かかった。水中にはかつて売り物だった物が散乱しており、混沌としていた。
服屋のテナントからはジーンズが漂っていたり、車屋のテナントからはオプションで売られていたハンドルが漂っていたりした。
一刻も早く主を倒さねば、と決心したカナチは暗い水中を進んでいく。しかし道中も敵は居ない訳ではなく、魚型のロボットや酸素ボンベを背負った洗脳兵が居た。
敵を倒せば倒す程水中は混沌としていった。飛び散るコアの欠片、ロボットのオイルや部品、更に敵が動かした売り物までが散乱していた。

カナチは奥へ奥へと進んでいき、ついに最深部に辿り着いた。そこには一人の少女が待っていた。
「ようこそ、私の要塞へ。あの守りを破るとは相当ですね。」「アンタの兵士、片っ端から無力化したぞ。」「それはまた気性が荒い事。そんな人は私の力で押し流してあげましょう。」
少女がどこからともなく一本の槍を取り出した。「"L"の加護を得し私の力、お見せしましょう。」「…戦う前に1つ聞いておきたい。アンタの名は何だ?」
「あら、失礼な事を聞きますのね?こういう事は自分から先に名乗るのは礼儀では?」「そうか… オレはカナチだ。で、アンタの名前は?」「私は座間子。"L"の加護を得し水の遣い。」
(どうやら中身は生身の人間のようだな… コイツもコアを潰せば!)カナチが泳いで距離を詰める。しかし相手は優雅に離れる。
「あら、喧嘩っ早いこと。残念だけど水中は私のもの。あなたには追いつけないわ。ここで散りなさい。」座間子が槍を構える。同時に槍の周りに巨大な氷が生成される。
「スピリット・オブ・ジ・オーシャン!」先程までただの氷塊と思っていた物が意思を持ったかのように動き出す。
カナチは避けようとする。しかし氷塊はなんと軌道を曲げてカナチを追ってくる。「ふふっ、この氷の竜から逃げれるかしら?」「クソっ!」カナチは必死に逃げ回る。座間子はそれを優雅に見つめる。
「砕けろッ!」カナチがバスターを氷竜に撃ち込む。氷竜は砕けた。「お上手なこと。でもこれで終わりじゃないわよ?」座間子が上に泳ぎだす。
「次、行くわよ!マリンスノー!」座間子が通った跡に鋭い氷が次々と生成される。それらは全てカナチ目掛けて降ってくる。「喰らうかッ!」カナチが落ちてくる氷を次々と斬り裂く。
「これでどうだッ!」カナチが氷をかいくぐり、セイバーのリーチまで近づいた。コアに向かってセイバーを振り抜いたその時、「やるじゃない。でもこれで終わらないわよ?」
なんと手元に氷でできた盾を作り、斬撃を防いだ。「動けるからって無茶してるのは分かってるのよ?この水中でいつまでそんな強気で居られるかは見ものね。」
座間子が素早くカナチの裏に回る。「でも貴方、少しは私を楽しませてくれそうね。」座間子が槍を大きく構える。「水月斬!」
持ち前の反射神経で間一髪直撃を避けるもアーマーを斬られてしまった。「凄い反応ね。流石あの守りを破っただけあるわ。でも今度こそ終わりよ。」
座間子が一旦距離を取る。「アイスジャベリン!」槍によって作られた氷が巨大な氷槍となって飛んでくる。しかしカナチも一筋縄ではいかない。
相手もある程度高さを取って撃ってるので下を潜ろうと思えば通れるほどの隙間はある。カナチはその隙間に向かって一気に動き出す。
「やるじゃない。でもこれは―」座間子が構えた瞬間、カナチのセイバーが唸る。

水月斬!!」

切っ先がコアを斬り裂く。コアが砕けた衝撃で座間子は気絶した。
「大体の要領は掴めた。これだけ出来れば問題無いだろう。」カナチは戦闘中に敵の技を学習ラーニングしていた。
「こちらカナチ、城主を無力化した。これより帰還する。」通信機でけんまにミッションの終了を伝えた。
カナチは座間子を抱えて転送された。

拠点では洗脳を解かれた一般市民で溢れていた。しかし洗脳の後遺症は多少なりとはあるらしく、座り込んでる人も居れば、立ち上がれないほど重症な人も居た。
後遺症のほとんど無い人には誘導と搬送を分担していたが、それでも常に誰か走り回ってる状況だった。
聞けば重症な人は脳に問題があるかもしれないらしく救急車の手配が必要で、軽症な人は帰宅支援をしないといけないと大忙しの現場だった。
カナチも手伝おうとしたが、けんまはそれを引き止める。「カナチには休んでほしいンマ!!」「…そうか。ならシャワーだけ浴びて今日はもう寝させてもらうか。」
「カナチは十分頑張ったからもうこれ以上今日は手伝う必要は無いンマ!疲れを取るためにも今日はもう寝てもいいンマ!」「…2徹だけはするなよ。」
そう言ってカナチはシャワーを浴びに行った。その日は日付が変わるまで明かりがずっと付いていた。

Stage3へ続く

Stage3 -陽炎-

札幌の要塞を制した翌日、カナチは誰よりも早く起きた。
(昨日のゴタゴタは片付いたのか。彼女らは大丈夫だったのだろうか…)昨日カナチが無力化した人の事を考えてると、けんまが起きてきた。
「カナチ、もう起きてたンマか。」「さっき起きたばかりだ。昨日の彼女らはどうなった?」「症状の大小はあれど誰一人死んでないンマ。ただ後遺症が心配な人も居たンマが…」
「ひとまず誰も死んでないなら安心した。座間子の様態はどうだ?」「彼女は多少の肉体損傷はあれど、精神汚染は無さそうンマ。とりあえず朝ご飯用意するンマ。」
けんまが台所に向かう。カナチがテレビを点けるとやはり昨日のニュースが引き続き流れていたが、札幌の物だけは内容が変わっていた。今日から復旧工事らしい。
カナチがテレビを眺めていると、座間子が起きてきた。「おはようございます、カナチさん。」「あぁ、おはよう。身体は大丈夫か?」「えぇ、この通りもう大丈夫よ。」
「そうか、変なとこを斬ってなくて良かった。」

三人は朝食を食べながら"A.C."の事について話していた。「こんな事聞くのもアレンマが、捕まった時の事を教えてくれないンマか?」「ごめんなさい…その時は何が何だか分からなかったの。
確か、帰りに自転車に乗っていたら後ろから何か刺されたような…」「麻酔か?」「多分違うンマ。麻酔は血管探さないといけないから多分スタンガンンマ。」
「年頃の女を拉致した挙げ句、洗脳して自分の手駒にするとは卑劣な奴だな…」「襲った奴は男ンマ?女ンマ?」「分からないわ。死角から音も無くやられたから…」
「一昨日の通信じゃ変成機使ってたから分からないンマね…」空前の畜生にカナチは怒りを募らせる。「50年前より酷いな…」

カナチが最初に食べ終わる。「今日は福岡を叩く。出撃準備頼む。」「ちょ…ちょっと待ってほしいンマ…」けんまが頬張りながらカナチを止める。
「…ふぅ。座間子のアーマーを解析してたらバスターの強化に使えそうなパーツがあったンマ。だからバスターに組み込ませてほしいンマ。」
そう言ってけんまは急いで朝食を食べ、カナチのバスターを改造した。「…よし、出来たンマ。これで"アイスジャベリン"が撃てるようになったンマ。」
けんまが試し打ちをすると、弾丸が氷を纏い、氷の槍として飛んでいった。「通常の弾を撃ちたい時はこのパーツを外せばいいンマよ。あと酸素ボンベに防塵機能を付けたンマ。」
カナチに酸素ボンベとバスターを手渡す。「悪いな、それじゃあ行ってくる。」「ファイトンマ!」「…日が暮れるまでに戻る。」カナチは福岡に転送された。

「くっ… なんて熱さだ…」ニュースで見たとおり火災現場なのは分かっていたが、現場は想像を超えた熱さだった。
「出来ればLサイズの水筒を飲み干す前に帰りたいところだな…」生きているが故の悩みを抱えながらもカナチは燃え盛る工場へと入っていった。
流石にこの熱さの中洗脳兵を投入する訳にはいかないのか、敵は機械兵ばかりだった。「コイツは斬りがいがありそうだな。」
カナチが目の前に居た機械兵を斬ろうとした瞬間、機械兵は口から青白い炎を吐いてきた。カナチは直撃を逃れたが、その温度で水筒の塗料が溶けていた。
近付こうにも近づけなかったカナチだが、けんまから通信が入る。「カナチ!大丈夫ンマか!?」「あぁ、大丈夫だ。どうした?」「よかったンマ… カナチが出た後に座間子から説明があったンマが、
どうもアイスジャベリンの氷は熱を寄せ付けない特殊な氷らしいンマ。その程度の炎なら消火出来るらしいンマ。」「なるほど… コイツを使えってか。」
カナチがバスターにエレメント・アクアをセットする。「喰らえッ!!」カナチが機械兵に向けてアイスジャベリンを放つ。
機械兵は再び炎を放ったが、氷の槍は物ともせず、放った燃料ごと凍らせた。周囲の熱ですぐに氷が溶けたが、足止めには十分だ。
「サンキューけんま。これで炎も怖くねぇな。」「ンマ!頑張るンマ!」敵の効率的な倒し方を知ったカナチは次々と敵を倒していった。

無双していたカナチだが、ここでこんな事に気づく。(待てよ…?氷が効くって事は"アレ"も効くって事か?)敵との相性を考えながら、炎に塞がれてない一室に入る。
何事も無く通り抜けようとした時、部屋のシャッターが下りる。「クソッ!罠か!」突破口を見つけようとするカナチだが、どこからか声が聞こえた。
「フフフ… この先に進みたければこの部屋の守りを破ってみなさい。もし全員倒せたならば私はこの部屋のシャッターを上げましょう。
但しもし勝てないようであればここで炎に飲まれてもらいます。札幌の要塞を落とした貴方ならこの位は余裕ですよね?」「どこだ!どこに居る!出てこい!」
「私はこの先に居ますよ。逃げも隠れもしませんが、会いたければこの守りを破ってください。」何者かがそう言った時、天井を突き破って多数の機械兵が出てきた。
「…どうやら"アイツ"はオレが戦うとこを見たいようだな。ならば望み通り見せてやろう。 全員まとめてかかって来い。スクラップにしてやる。」
双方が構えて睨み合った次の瞬間、敵兵の一体が姿勢を低くして突っ込んでくる。「試合開始だ!」カナチは敵の裏に周り、放ったアイスジャベリンを壁にして突っ込む。
「まずは一体!」氷の破片とオイルが飛び散る。息つく暇もなく次の敵が背面から飛び込んでくる。「無駄ァ!」カナチは敵の懐に飛び込み関節部を斬り裂き無力化する。
着地隙を狙って別の機体がバーナーを吹き付ける。カナチは着地硬直を打ち消すかのように後ろの台に飛び退く。
もう一度アイスジャベリンを盾に飛び込もうとしたその時、カナチの上下から機械兵が飛び込んでくる。何たる機械的連携か!だがカナチは屈さない。
「ならコイツだ!水月斬!」セイバーが水を纏い、三日月の如き軌道を残す。濡れた斬撃は敵が吐いた炎ごと叩き斬る。着火装置が故障したのか、斬られた敵は炎を吐かなくなった。
「"当たり"だな。オレの読み通り水月斬が通ったか。」敵の新たなる弱点を知ったカナチの眼には、最早恐れなど無かった。
「次はどいつだ!たたっ斬てやる!」機械兵5台が陣形を組んで突っ込んでくる。カナチも負けじとアイスジャベリンを盾にして突っ込む。カナチの手は水月斬の構えを取っていた。
アイスジャベリンが一体を貫く。だが機械兵は倒された一体を無視して突っ込んでくる。敵兵が残骸を飛び越えてカナチを襲いかかろうとした時、カナチは水月斬を放つ。
斬撃は残された4体を一度に斬り裂く。飛び散るクーラント液が炎を消す。消えた炎の中から別の集団が現れる。
「…まだ残っていたのか。」機械兵はカナチを取り囲むように陣形を取る。「しつこい野郎だな…」敵兵がカナチを包囲すると、一斉にバーナーを噴射した。
流石に360°全ての敵を一辺に対処する事はカナチでも無理なので一旦飛び退く。もう一度アイスジャベリンを壁に敵を斬る。一体、二体、三体…
半数を処理した時、更に上から追加で敵兵が投入される。「クソッ!まだ増えるのかよ!?」カナチが増え続ける敵に苛立ちを覚えたその時だった。

「スピリット・オブ・ジ・オーシャン!」

突如視界の外から氷竜が飛んできた。「座間子、何でここに!?」カナチが振り向いた先には座間子がアーマーを着込んで立っていた。「私も手伝いたくて。」
「お前、そのアーマーはどうしたんだ?それに身体も…」「身体のほうは朝にも言った通りもう大丈夫です。アーマーに関してはけんまさんに頼んで修復してもらいました。」
けんまから通信が入る。「カナチ、間に合ったみたいンマね!」「けんま!何で彼女を転送したんだ!」「それは… 彼女が直接行きたいって言ったンマ。」
「座間子、どうして…」「あら、仲間を助けるのに理由なんて必要かしら?それにこの数だと一人じゃ厳しいでしょ。私も手伝うわ。」「…分かった。けんま!座間子のサポート頼む!」
「了解ンマ!」二人は手分けして敵を倒す。一人は水を纏ったセイバーで、もう一人は氷の竜を従えて。けんまから引き続き通信が入る。「カナチ!敵の増援生産を止めたからあともうちょっとンマ!」
「通りで次から次へと湧いてた訳だな…」現場となった工場だが、制圧された後に機械兵を作り出す工場へと変えられていた。「今からシャッター制御を乗っ取るからもう少し頑張ってほしいンマ!」
「了解した。出来るだけ早く頼む。」二人は引き続き敵を倒し続ける。一室には壊された敵の残骸が数多く散らばっている。二人が敵を倒してるうちに、気づけばその一室の火は鎮火していた。
「カナチ!制御権取れたンマ!」行く手を阻んでいたシャッターが開く。「サンキュー、けんま!」カナチはまた燃え盛る工場の中へ進んでいく。
カナチが再び進んだのを見送った時、座間子は力を失い床に座り込んでしまった。「座間子、大丈夫ンマ!?」「…少し無茶をしすぎたようね。」「まだ体力が回復しきる前に出たンマから…」
「いいの。私を救ってくれたあの人の役に立てたなら…」座間子はカナチに完全回復したと言っていたが、それは嘘だった。彼女はカナチを安心させるためにわざと嘘をついた。
朝見た時にけんまも薄々気づいてはいたが、あえてそれを指摘しなかった。彼もカナチを最善の状態で送り出す事が第一であり、カナチに不安要素を持たせたくなかったからだ。
「とりあえず早く戻ってくるンマ!」「…分かったわ。」座間子は持っていた緊急用転送装置を使い、拠点に戻る。「…負けないでね。」座間子は燃え盛る工場を後にした。

さっきの部屋に兵力を投入して生産ラインを止めたからか、あの一室を出てからはほとんど敵は居なかった。そしてカナチは工場の最奥に辿り着く。
「罠、突破したのですね。残念なこと。」「…お前の目論見通りには物事は進まなかったようだな。」「えぇ。なのでここでこの六実が、直々に"始末"してあげましょう。」
「望むところだ。果たしてどちらが"始末"されるのだろうな。」「甘く見てると火傷するわよ?」「そうか?ここまでの道のりのほうが熱かったけどな。」
「減らず口も…」六実が手を構えると、炎で出来た弓と矢が現れる。「そこまでよ!!」先に仕掛けたのは六実。炎の矢がカナチを襲う。
「その言葉、そっくりそのまま返すぞ!」カナチは放たれた矢の合間を掻い潜り、懐へ潜る。「喰らえッ!!」カナチがセイバーを振り上げる。

「そんな物などお見通しよ!」

なんと、六実はカナチのセイバーに反応して手に宿らせていた炎の弓でそのまま斬り上げた。「グッ…!!」敵の一撃をモロに喰らうカナチ。
幸い急所は外れたが、それでもかなりのダメージを受けていた。「どう?私の必殺技の"昇炎斬"の威力は。決してさっきの言葉が過大表現じゃないって分かった?」
まだ致死量ではないものの、カナチの身体から血が滴り落散る。荒い息遣いのまま何も返せないカナチ。「どうしたの?もう終わり?さっきの威勢はどうしたの?」
カナチは急いで拾った治療キットで応急処置をする。「その様子だと相当きてるようね。いいわ、待ってあげましょう。"獲物"は"新鮮"なほうがいいですし。」
余裕を見せる六実。思わぬ被弾に焦りを見せるカナチ。「そろそろ次いきますわ。唸れ!烏(からす)座の力よ!ペインヘルフレイム!!」
六実の両手から禍々しい色をした炎が次々と飛び出る。「これで終わりよ!灰となりなさい!!」
「そうは…いくかァ!!」カナチがアイスジャベリンを盾にして突っ込む。「何度やっても同じこと。その手は私には通用しないわよ。喰らえ!昇炎…」
アイスジャベリンごと斬り裂こうとした六実だが、構えた炎ごと槍に振り払われる。「…!!」すかさずカナチも追撃体制に入る。
水月斬!!」コアにこそかすらなかったが、斬撃は敵のアーマーを引き裂いた。アーマーの下から生身の身体が姿を見せる。
「…どうやらこちらも一筋縄ではいかないようね。いいわ。楽しもうじゃないの!ヘル・ノクターン!!」六実のアーマーのマントと思われていた物が突如伸び、壁や床に突き刺さる。
引き抜くと同時に刺した穴から爆炎が吹き出す。「もっと…もっと私を楽しませて頂戴!!」爆炎の波がカナチに押し寄せる。カナチは奥へ奥へと逃げていく。
壁際に追い詰められたカナチだが、壁を蹴って敵の頭上を飛び越える。「そう、それでいいの。貴方がそうする事で私はより楽しくなれるの。だからね…」
六実が再び禍々しい炎を放つ。「もっと逃げ回って頂戴!グレイヴクロー!!」炎が壁となって押し寄せる。カナチはセイバーを構える。
「何故…!何故こんな事をする!」カナチが水月斬を放つ。斬撃が炎を斬り裂く。「それはね… "あの御方"が私に最高の"遊び"を教えてくれたからよ!」
六実がマントでカナチを引き裂こうとする。「何言ってるんだ!正気を取り戻せ!!」カナチは飛び退きつつ相手の攻撃をかわす。
「いいえ、最初から正気よ!」六実は禍々しい炎を展開する。「ならば力尽くでも…」カナチがバスターを構える。「取り戻すだけだ!」カナチがコア目掛けてアイスジャベリンを放つ。
「そんな攻撃、当たる訳が―」六実は動こうとしたが、動けなかった。先程の斬撃のガタが来たのだろう。
氷の槍はコアを砕く。六実はそのまま倒れ込んだ。「…死んではないか。」倒れた六実の脈を取りながらカナチが呟く。
「こちらカナチ、対象を無力化した。これより帰還する。」
激闘の福岡での戦いは幕を下ろした。

Stage4に続く

Stage4 -常磐-

―「どうしても麻酔を入れなきゃいけないのか。」「…ンマ。」けんまが縦に首を振る。「流石のカナチでも麻酔無しは耐えられないンマ。
常人が麻酔無しでやったらショック死するンマ。」「…そうか。」カナチが吸引麻酔用のマスクを付ける。
「多分カナチなら1日もあれば回復すると思うンマ。だからそれまで…」「分かった。長い説教はゴメンだ。」カナチがけんまの話を遮る。「分かったンマ。」けんまがスイッチを入れる。
「…それじゃ、おやすみンマ。」カナチにこの声が聞こえてるのか、そんな事を考えてけんまはその場を去った。

翌朝、けんまが起きてくると先に座間子が起きていた。「カナチさんの具合はどう?」「今のとこは問題無いンマ。多分カナチの体力なら高速再生機の出力を上げても大丈夫ンマ。」
「そう… 六実さんは?」「彼女はカナチみたいに体力が無いから高速再生機を使っても一週間は掛かるンマ。急所に攻撃が当たってないから回復は早いと思ってるンマが…」
二人は高速再生機の画面を見ながらカナチと六実の様態を話していた。

「…ねぇ、けんまさん。大阪の要塞、私が行っていいかしら?」「なっ、何言ってるンマ!?今出たら昨日みたいになるンマよ!?」
「大丈夫よ。昨日はゆっくり休んだし。 …それに私以外に出れる人は居ないでしょ?」「確かにそうンマが… 別に座間子が無理をして行く必要も無いンマ!」
「あら、私が無理してるとでも?心配性さんね。ちゃんと自分の体調くらいは分かってるわよ。」「…そこまで言うなら行ってくるンマ。」
けんまは半分根負けして朝食の用意をしに台所へ向かった。

座間子が朝食を待っている間に見ていたテレビによれば、あの工場地帯に立ち込めていた火は今朝早くにようやく鎮火したらしい。
夜を徹しての消火活動を強いられたあの炎は工場7棟を全焼させたらしい。現在は警察が捜査に入ってるとの事で、テレビには焼け焦げた外観しか映っていなかった。

二人は朝食を食べると出撃準備に移った。
―「左腕のケースにマーカーが入ってるから、コアを壊してマーカーを付けてほしいンマ。」「分かったわ。」けんまが座間子にミッションの説明をする。
「それじゃあ、行ってくるね。」「くれぐれも無理はしないでほしいンマ!」「大丈夫よ。」座間子はけんまに微笑みながら大阪に転送された。

大阪城公園に転送された座間子だが、眼前には元が分からないような光景が広がっていた。複雑に入り組む木の枝、アスファルトを割り線路まで伸びる根、
ダンジョンを構築するかのように絡まった蔦、そびえ立つ複数の大木― まるで森が人間に牙を剥いたかのようだった。
「自然を暴走させる能力ンマか…?」けんまが通信機越しにその惨状を見て驚く。「ニュースだと逆側しか映ってなかったからこんな事になってるとは思わなかったンマ…」
「人工的に作られた自然の要塞ってとこかな…」「ややこしいンマ。人造なのか天然なのかはっきりしてほしいンマ。」「でも行かなきゃね。」
座間子は槍を握り、鬱蒼とした森の中に入る。
森の中はまるで迷路のようになっており、何度も同じような光景が続いていた。「この道で合ってるのかしら…」「一応エネルギー反応には近付いてるみたいンマ。」

薄暗い森を進んでいくが、不思議な事に敵の気配はあまりしなかった。洗脳兵は所々に居たが、機械兵をあまり見なかった。それどころか機械兵を見かけたとしても、一切動かない物がほとんどだった。
「…なんでこんなに故障した機械兵が居るンマかね?」「さぁ…」「一応何らかのデータが手に入るかもしれないンマ。マーカーを使って転送してくれないンマか?」「分かったわ。」
座間子が故障した機械兵を転送する。(もしかしてあの人が? …まさかね。) 座間子にはこの事について思い当たる人が居たが、気のせいだと思う事にした。

しばらく進んでいくと、日が差す広い空間に出た。足元には複雑に蔦が絡まり合っており、下層の様子が見えた。しかし座間子がその広間に入った時、待ち構えていたかのように何かが乱入してきた。
「嫌…」その姿を見て座間子は生理的に嫌悪を覚えた。所々でもぞもぞと動くパーツ、黒く光沢を持った甲殻、大型の複眼、毛の生えた脚部、座間子の3倍はあろう巨大な体格―
まるで蟲のおぞましい部分だけを集めた風貌をしていた。頭では機械と分かっていても、身体が逃げようとする。引こうにも本物と見間違うムカデ型ロボが入り口の周りで多数徘徊している。
「やめて… 来ないで…」恐怖心に縛られた座間子の目には涙が浮かんでいた。けんまが必死に座間子に呼びかける。「座間子!アレは機械ンマ!虫なんかじゃないンマ!!」
そんな事は重々承知している。しかし本能がここから逃げ出そうとしている。座間子はどんどん追い詰められる。次第に逃げ場が無くなっていく。
遂に壁際まで追い詰められた。恐怖心で逃げられなくなった座間子を蟲型機械兵が襲おうとした時だった。

座間子に送信主不明のメッセージが入る。通信機は淡々と機械音声で読み上げる。
「なんとか権限掌握出来た 相手とのせめぎ合いでハックが相当困難になっている だが多少の時間稼ぎは出来る 完全に閉め出される前に倒してくれ」
そのメッセージには、署名代わりにこんな英文が綴られていた。
"There's no way back,the time is now for me."と。
通信が入ったと同時に敵はビープ音を出して動作を停止した。メッセージ通りならエラーでも吐かせて無理やり止めたのだろう。
座間子は落とした槍を拾い、再び動き出す。「"帰り道は無い、この時間は私の物なんだ" ね…」その言葉が座間子を励ましたのか、もはや恐怖心など無かった。
「…そうね、自分の意志でここに来てるからにはやらなきゃね。」座間子が再び槍を構える。脇を抜けて横に出た時、機械兵も再び動き出す。
機械兵は蜂型のドローンを卵を産むように放出する。「やっぱり怖い…」座間子は怯えるが、それでも果敢に立ち向かう。
彼女の決意が影響を与えたのかは分からないが、怯えを振り払うと同時に座間子を狙っていたドローンの挙動も不安定になる。急に姿勢を崩したり墜落して再起不能になったりした。
(そうね… 私は決して一人でないんだわ。)彼女は意を決して槍の力を放つ。「スピリット・オブ・ジ・オーシャン!」氷の双竜は残ったドローンに向かって飛んでいく。
氷竜はドローンを喰らう。喰われた残骸からは機械である証のように火花が飛び散る。
機械兵は一気に距離を詰めようと、脚を全て設置させるために倒れ込む。突進しようとしたその時、一瞬動きが止まる。座間子はその隙を見逃さず、死角に潜り込む。
ガラ空きになった空間に機械兵は構わず突っ込む。裏を取れた座間子には致命傷を与える絶好のチャンスが来ていた。
槍を構えた座間子だが、彼女の意思と関係無く槍が力を纏う。槍に纏った力は意志を持ったかのように自分から竜の姿を取る。
それも今まで使ってきたものと比べ物にならないくらい大きな竜の姿を。氷竜は形成されると同時に唸り声を上げる。―まるで生命が宿ったかの如く。
だが座間子はその氷竜を通じて何か感じ取っていた。1つはとても頼もしいオーラを。もう一つは座間子にはとても理解出来ない物だったが安らぎに近い物を感じた。
座間子が槍を構えて突進すると、氷竜もそれに呼応するかのように機械兵に喰らいつく。それも一度だけでなく何度も。
いくら硬い装甲を持つ大型機械兵とはいえど、氷竜の連撃は着実に装甲を削っていった。そして装甲が剥がれ、座間子は止めの一撃を放つ。
「落烈斬!!」槍は氷を纏い、騎馬槍の如し刀身を形成する。貫通力を増した槍は敵に空いた穴から内部機構を破壊し、遂にはもう一度装甲を貫通し機械兵を串刺しにする。
機械兵はその場に崩れ落ちる。座間子は恐怖に打ち勝ったのだ。「…やっと倒せたみたいね。」「一時はどうなるかと思ったンマ。座間子!頑張ったンマね!」
座間子が恐怖に打ち勝ったのを見届けるかのように、巨大な氷竜も音を立てて崩れる。「…ありがとうね。」座間子は氷竜の欠片に感謝を言う。
座間子が広間から出ようとした時、けんまが氷竜の残骸から何かを見つける。「座間子、ちょっと待ってほしいンマ!」「どうしたの?」「あの残骸からまだ電波が出てるみたいンマ。」
「どういう事?」「あの氷竜、多分中に何かあったと思うンマ。ちょっと調べてくれないンマか?」座間子が氷竜の残骸を調べると、1枚の基盤が落ちていた。
「なんだろ、これ。分かる?」「何かの部品だと思うンマが…?それちょっと持って帰ってきてほしいンマ。」「分かったわ。」座間子は基盤を拾って広間を後にした。

広間を抜けると、複雑だった道もほとんど無くなった。恐らく侵入対策してあるのはあの広間までだったのであろう。
しばらく行くと、玉座と思われる大部屋に着いた。「ここがゴール…なのかな?」「エネルギー反応見てる限りではそうっぽいンマが…」
しかしその大部屋は妙に小ざっぱりしていて誰も居なかった。―その時までは。
「よく来たわね、いらっしゃい。」天井から一人の少女が降りてきた。「あの蟲、あなたが壊したのね。見かけによらず大した度胸だわ。」
「座間子、気をつけるンマ。この反応、城主の反応ンマ。」けんまが座間子に警告する。
「えぇ、あのロボットは少し苦労したわ。」「あらそう。ならば少しは退屈しのぎになりそうね。まさかここまで来れる人が居るとは思わなかったもの。」
「何の偶然かは知らないけど、ここまで迷わず来れたわ。」(迷ってたンマよね…)「ならその"偶然"とやらをここで私にも見せて頂戴!」
敵はいきなり爆弾を放つ。「フォレストボム!」木の実のような爆弾は炸裂すると同時に大量の枝葉をそこら中に撒き散らす。
一瞬にして障害物を発生させると、敵は更に追撃体制に入る。「まだまだよ!」もう一度フォレストボムを放つ。
「くっ…!」座間子は飛んでくるフォレストボムを斬り落とすのがやっとだった。「あら、さっきまでの威勢はどうしたの?もうおしまい?ならこの十七実が直々に手を下す必要は無さそうね。」
「何ですって…!」座間子は再び槍を構える。「アイスジャベリン!」十七実目掛けて氷の槍を飛ばす。しかし一七実は余裕の表情を見せている。
「ホーネットチェイサー!」なんとバスターから蜂型のドローンを複数召喚し、槍を強引に相殺した。
「その程度の攻撃なら私が喰らうまでもありませんわ。行きなさい!」十七実は再びホーネットチェイサーを放つ。
蜂型ドローンが座間子に襲いかかろうとする。

しかしその時、襲いかかってきたドローンが急に全て動作を急に停止した。
「上手くいったンマ!座間子!」「けんまさん!どういう事なの?」「実はついさっき差出人不明のプログラムが送られてきたンマけど…」
(差出人不明… あの時の人?)「そのファイルがどうも敵の機械兵にピンポイントで感染するウィルスだったみたいンマ。感染するとシステムの制御権を乗っ取るバックドアを作るんだけど―」
「けんまさん、私にそういう話されても…」「すまないンマ。要約すると、あのドローンはこっちで制御出来るンマ!それじゃ早速…」
けんまがドローンを再起動する。「貴様…!一体何をした!!」「…これがあなたの言うところの"偶然"ってやつかな。」今や先程召喚されたドローンは座間子のオプションとして動いている。
「ならばもう一度召喚するまでだ!!」十七実はホーネットチェイサーを放つ。しかしそれに反応するように座間子のホーネットチェイサーも激しく動き出す。
なんとそれに呼応するかのように放たれたドローンが再びこちらに寝返る。「もうウィルスに感染したンマ!?なんて感染力ンマ…」通信機越しに見ていたけんまが驚く。
「…そんなにすごい事なの?」「凄いってレベルじゃないンマ!!これは…大戦でも通用する軍事兵器レベルンマ!!」けんまが興奮気味に話す。

「一度ならぬ二度までも!!もういい!ならばこちらから行ってやろうじゃないの!」十七実が勢いよく後ろに飛び退く。
「喰らいなさい!フライングインパクト!!」十七実が勢いよくこちらに突っ込んでくる。
座間子はアーマーによって強化された身体能力で回避したが、それでも座間子の反応速度では到底避けきれない速度だった。
「あぁっ…!!」左脚が敵の攻撃に喰らってしまう。「そう、それでいいの。大人しく私の退屈を紛らわせてくれればいいの。」攻撃を喰らった座間子の左脚からは血が垂れる。
「座間子!大丈夫ンマ!?」「平気よ… これくらい…。」「平気じゃないンマ!!座間子は人に余計な心配させたくないのは分かってるンマ!!」
「ありがとう、けんまさん。でも…」座間子が槍を使って再び立ち上がる。「でも、私が行きたいって言ったから最後までやり遂げないとね。」
座間子は覚悟を決める。(神様… どうか私を護って…!)「いでよ氷竜!スピリット・オブ・ジ・オーシャン!」「そのザマでまだやるとはねぇ… 私も見直したよ。」
座間子はドローン、氷竜と共に突っ込む。左脚から垂れる血が軌跡を描く。「一刀両断!」座間子が槍を振り上げる。
「よろしい!ならばその意気に迎え撃ってあげましょう!!」十七実も両腕を合わせ、斧のようになった腕部を振り上げる。
その時だった。座間子の高ぶる精神と覚悟に同調したのか槍が輝き出す。「OVERCLOCK ACTIVE」槍が電子音声を発する。
座間子は興奮して聞こえなかったのか、そのまま振り下ろす。「水月斬!!」同時に十七実も腕を振り下ろす。「割木斬!!」

相打ちかのように思われたが、結果は一目瞭然だった。なんと、槍は十七実の腕に付いていた刃を切り落とした。
しかし座間子も今の一撃で力を使い果たしたのか、槍の光が消えると共に倒れ込む。十七実は今の一撃で唖然としていた。
無防備になった十七実に蜂と氷竜が喰らいつく。蜂はアーマーを破壊し、氷竜はコアを喰らう。
コアを破壊され、力を維持出来なくなった十七実は気を失い倒れ込む。

しばらくしてから座間子が再び立ち上がった。「やっと… やっと終わったのね…」座間子の頬には涙が伝っていた。
「こちら座間子、回収をお願いするわ。」座間子は十七実と共に拠点に帰還した。

Stage5に続く

Stage5 -閃光-

座間子が十七実を倒したその夜、拠点はいつもより静まり返っていた。
処置室でただ静かに光る高速再生機のモニター、誰も居ない食卓、研究室からカタカタと聞こえるキーボードの音…

座間子は満月に照らされた屋上で、夜景を見ながらただ一人考えていた。
何故"A.C."が私を狙ったのか、何故男性の洗脳兵が居なかったのか、そもそも何故私が隊長格だったのか。
降り積もった雪がよるの静寂を作り出していた。

研究室では、けんまが故障した機械兵の解析をずっとしていた。
「ンママ… コレを送ってきた人はどんなバケモノンマか…」けんまがディスプレイを見て驚愕する。
「2日で暗号解析してその上ウィルスにまで感染させるとか人外ンマ…」故障した機械兵はウィルスによりシステムを破壊されていた。
けんまに送られたファイルには、機械兵の解析に必要な事が一通り書かれており、けんまはそれを見ながら解析していた。
「こんなアーキテクチャ初めて見たンマけど、どうやって解読したンマか…」けんまは一心不乱にキーボードを叩く。
機械兵が破壊された時には自身のデータを消去するという挙動が書かれていたのだが、感染したウィルスがその挙動ごと強引にねじ伏せていた。
「どういう考え方してたらこんな綺麗にシステムだけぶっ壊せるンマか…」

解析を続けていると、ある特徴的なデータを見つけた。「ンマ…?このデータ、もしかして…?」
けんまは見つけたデータにアクセスしてみるが、エラーでアクセスを拒否されてしまう。
しかしけんまはエラーコードで何かを察したようで、「最後の鍵は東京にあるンマか…」と呟いた。

翌朝、麻酔が切れて眼が覚めたカナチが食卓に来ると、既にけんまと座間子が起きていた。
「カナチ、おはようンマ!身体の調子はどうンマ?」「若干痛みは残ってるが何ら問題は無い。それより座間子、その脚どうしたんだ?」
座間子の左脚には血が染みた包帯が巻かれていた。「ううん、大丈夫よ。」座間子がカナチに笑顔で返す。
カナチは大丈夫じゃないだろと言おうとしたが、けんまがこれ以上聞くなという気迫でこちらを見てきたので、それ以上聞かない事にした。
「カナチ、朝ご飯の用意は出来てるから出すンマ。それと、ご飯食べてる間にバスターを改造させてほしいンマ。」
そう言ってけんまはバスターを受け取り、朝食を取りに行った。

カナチがテレビを点けると、新宿で機動隊と"A.C,"の部隊が衝突する映像が流れていた。
機動隊は"A.C."の部隊に向かって発砲するも、何ら動じる事無くただ歩み寄り、それどころか謎の閃光と共に何人かが敵に寝返っていた。
その後、"A.C."の部隊が撮影されている事に気づいたのか、カメラに銃口を向けた後、映像が崩壊して終了した。
流石にカナチもこれは捏造だろうと思ったが、別のカメラもその事を捉えており、その映像には敵の指揮官らしき人物も映し出されていた。
―そこには、10代前半であろう少女が、大型武装を身に付け飛び回っていたのだ。
こちらのカメラは先程の謎の閃光を捉えた後に身の危険を察したのか、その後急いで撤退する様子が映されていた。
「次の相手はアイツか…」「あの女の子… けんまさんと同じくらいの歳?」「恐らくそうだ。顔はよく見えなかったが、背丈からするとそうだろう。」
けんまが朝食を用意してくれたのでカナチは朝食を食べた。その間テレビでは、大阪城公園に生えた巨木に対する議論の様子が映されていた。

カナチが朝食を食べ終わり、けんまの下へ行くと、バスターの最終調整をしていた。
「カナチ、ちょうどいいとこに来たンマ。後ちょっとで調整が終わるンマ。」けんまがバスターを弄る。
「…よし、出来たンマ。」「今回はどんなのだ?」「えっと… まずこの"エレメント・ヒート"が―」けんまが試し打ちをする。
「こんな感じで炎の矢を扇状に飛ばせるンマ。で、こっちの"エレメント・ウッド"が―」再び試し打ちをする。
「こんな感じで衝撃で起爆する爆弾を飛ばすンマ。」「分かった。」カナチはけんまからバスターを受け取る。

「今回は渋谷に行けばいいんだな。」「ンマ。」「相手が相手だから少々やりにくいが…」カナチが転送機に乗る。
「それでもオレがやるしか無いな。けんま、転送を頼む。」「ンマ!ここまで来たカナチだから今回もきっと大丈夫ンマ!」
「カナチさん… 必ず帰ってきてね。」「あぁ、負ける訳にはいかないな。」カナチは二人に見送れられて渋谷に転送された。

カナチが転送された先では、空調から"A.C."の部隊と機動隊が衝突した時の火薬の臭いがしていた。
「…渋谷駅を要塞化したか。アイツの所まで辿り着くのに時間が掛からなければいいのだが…」
カナチは要塞化された渋谷駅を進む。普段なら一般人でごった返している渋谷駅なのだが、今日は違った。
歩いているのは自動哨戒用の機械兵、重装備を身に纏った洗脳兵、軽めの装備とローラーブレードを身に着けた機動歩兵…
更に道中には鉄道用電源や商用電源を使ったであろう電撃トラップが仕掛けられていた。
カナチはセイバーとバスターを手に転送された渋谷ヒカリエから飛び出した。

元々"魔境"と称される渋谷駅なだけあり、敵将の所まで辿り着くのも一苦労だ。
レーダーを使って探し出そうにも、電撃トラップが放つエネルギーがそれを邪魔する。
「クソッ…!自分で探すしか無いのか!」
カナチは改札前に居座っていた洗脳兵を倒し、改札を飛び越える。
普段なら駅員が居て止められるが、今日は駅員は誰一人居ない。仮に居たとしても洗脳兵に取り込まれてるだろう。
カナチは改札を越え、階段を駆け下りた。

地下4階は待っていたと言わんばかりに大量の敵兵が配置されていた。
敵兵はカナチに気づくと、電撃などを飛ばして攻撃する。
カナチは迫りくる電撃を潜り、飛んできた銃弾を飛び越え、敵を無力化していく。
けんまも応戦の為に、早速昨日入手したウィルスを実戦投入する。
カナチは洗脳兵を、けんまは機械兵を相手取り、ひたすら敵を迎え撃つ。

道中のトイレには、偶然戦火から逃れた一般人が隠れていた。
一般人は敵兵と思い込んで怯えていたが、カナチがあやす。
「ヒッ… も…もう終わりだ…!!」「おい、落ち着け。オレはお前を偶然見かけたから助けに来ただけだ。ほら、コレを使え。」
カナチは転送用マーカーを手渡す。「コレを貼ればお前を仲間が回収してくれる。オレの拠点は奴らには見つかってないから安心しろ。」
「あなたは一体…?」「オレの名はカナチだ。奴の存在を追う者と言っておこう。」「カナチさん!!あなたは私にとっての英雄です!!この恩は一生忘れません!!」
「英雄か… オレは正義の味方でもなければ、自分を英雄と名乗った覚えも無い… ただ自分の信念に従って戦っているだけだ。」
カナチはそう言って、転送されるのを見送ってその場を去った。

敵将がどこに居るのか分からない中、カナチは直感で田園都市線のホームに向かう。
カナチが地下3階に上った時、大型の敵がカナチを待ち伏せていた。
声こそ発してはいないが、生身の腕が垣間見えてる辺り、洗脳兵が乗り込んで使うパワードアーマーのようだ。
「クソッ…!こんな狭いところで!!」カナチは電車4両分の幅で戦う事を強いられる。
柱や壁を盾に使ってもいいが、下手に使うと天井崩落の危険もある、匙加減の難しい地形だ。
双方睨み合いが続いたが、先に動いたのは敵のほうだ。
敵は周りの地形を気にせずいきなりガトリング銃を放つ。
放たれた弾丸は時刻表、ゴミ箱、安全柵などといった物を破壊していく。
カナチも敵の掃射に合わせて動くが、天井が低く思うように避けられない。
カナチの皮膚を数発の弾丸が切り裂く。傷口からは弾丸を追うように血が飛び出る。
距離を詰めようにも、機銃掃射のせいでまともに近づけない。
「けんま!どうにかしてくれ!!」カナチはけんまに助けを求める。
「カナチ、そんな事いきなり言われても…」けんまも必死でキーボードを叩く。
敵の機銃掃射は止む事なく無慈悲にカナチを狙い続ける。

その時だった。辺り一面が一瞬で暗くなる。
「停電か!?」「ち、ちょっと調べてみるンマ!」
しかし空間が闇に覆われると同時に敵の機銃の音も止まった。
しばらくすると再び明かりが点いたが、敵兵は動き出せなかった。
「どうやら電力超過オーバーキャパシティだったみたいンマね。」「電子制御であるが故の弱点か…」
敵のパワードアーマーには駅の商用電源を使っていたようで、余りの消費電力にブレーカーが落ちたのだ。
再起動にも相当な電力が必要なのか、カナチが動き出してもまだ動かない。
動かないパワードアーマーなど最早ただの鉄塊に過ぎない。カナチは一気に駆け寄りガトリングを斬り落とす。
充電が終わったのか、ようやく再起動したパワードアーマーだが、時既に遅し。
武装の剥がされたパワードアーマーは手際良く解体され、操縦者のコアを破壊する。
パワードアーマーは再び膝を付く。その鉄塊は二度と動き出す事は無かった。
カナチは破壊されたパワードアーマーを横目にハチ公改札の方へ走っていった。

地下2階に上がったカナチだが、未だに相手が居る位置を把握してない。
「どこだ…!」カナチが再び動き出そうとしたその時、上のほうで何かが崩れる音がした。
カナチが急いで階段を上がると、巡回兵が東急百貨店を荒らして回っていた部隊と衝突した。
敵はいきなり発砲してきたが、低い姿勢で弾丸を掻い潜り、敵の懐に潜る。手慣れた手付きで敵のコアを破壊していく。
巡回部隊を無力化した後東急のほうに向かうと、大胆に破壊された壁と飛散した瓦礫で変わり果てたしぶちかの姿があった。
進むか戻るか悩んでいたカナチだが、レーダーが一瞬強力なエネルギーを捉える。
「この反応… 山手線のほうか!」カナチは瓦礫で埋まったしぶちかを駆け抜ける。
途中、地上で交戦中の自衛隊員を見かけたが、構っている余裕など今は無い。
今はただ、敵将を探し出す事に集中しなければならない。

再びJRの駅構内に入ると、最後の守りと言わんばかりに敵兵が固まっていた。
敵兵は一斉に襲いかかってくるが、カナチは果敢に立ち向かう。
一見カナチが不利なように見えるが、カナチはこの状況を利用する。
先陣を切って突っ込んでくる機械兵の脚を斬り落とすと、後続がそれに躓くように次々と倒れていく。
銃弾を放ってくる敵に対しては高速で飛び回り、相手を翻弄する。
すると銃撃の精度があまり良くないのか、撃ち損じが別の敵兵に当たる。
カナチは次々と同士討ちで敵を無力化する。しばらくすれば、辺りは斬られた機械兵の残骸ばかりになっていた。
カナチは散らかった残骸を後に、奥に進む。南改札を抜けホームに降りる。

ホームに降りたカナチは衝撃を受けた。
テレビで見たあの少女が、鉄道用電源で充電をしていたのだ。
「アイツ…アンドロイドか!?」カナチは自分の目を疑う。しかしセンサーが感知した信号にはきっちりと"人間"と出ていた。
「どういう事ンマ…!? 20kVの電源ンマよね!?」けんまも通信機越しに驚く。
向こうもこちらに気づいたのか、充電を終え、こちらに近づいてくる。
「ちょうどいいタイミングで来たのです。」「…アンタがこの部隊の指揮官か。」
「そうなのです。あんな奴らに電(いなづま)が自ら出向く必要は無いのです。」
「やけに自信たっぷりだな。それが20kV電源からくる自信か。」
「電の本気を見るのです!雷鳴に慄くがいいのです!!」電は蓄えた電力をオーラのように纏う。
「ならばその意気に答えさせてもらおう!!」双方が突っ込む。
お互い手にした武器には刃が形成されていた。
「落砕牙!」「昇炎斬!」お互いの斬撃が交差する。
しかしお互いに傷一つ付けなかった。初撃はお互いに様子見で放っただけだ。
「電の攻撃に怯まないのは流石なのです。」「あの程度でビビるようじゃ、ここまで来れないんでな。」
お互いの武器には斬った時の炎と電撃が残る。
電は再び武器を構える。「次は本気なのです!!」
銃口から電撃弾が放たれる。ゆっくりとした動きなのだが、かなりのエネルギーが圧縮されているのがカナチでも分かる。
「さぁ!私から逃げ惑うといいのです!」電撃弾は時折大きく放電しながらこちらに迫ってくる。
逃げ惑うカナチに電は追い打ちをかける。「こっちからも逃げてみるのです!スクランブルサンダー!!」
銃口から地を這う電撃が放たれる。電撃弾は双方からカナチを追い詰める。
「ならば…!」カナチもバスターを構える。「アイスジャベリン!!」
氷槍は電撃弾に向かって飛んでいく。氷槍は2つの電撃弾を貫き、ショートさせて強引に相殺した。
その隙にカナチも突っ込む。しかし突っ込まれるのを相手も想定していたのか、即座に反撃される。
「読み通りなのです!雷光閃!!」電は電気をオーラのように纏い、目にも留まらぬ速さで突き抜けた。
「ぐぅっ!!」カナチはセイバーで弾いたが、それでも電撃から逃れる事は出来ず、感電してしまう。
アーマーの効果により、致命傷にはなっていないものの、依然として痺れは残る。
「まだまだなのです!!スクランブル―」「させるか!!」電が構えたところにすかさずカナチがバスターを連射する。
カナチは息を切らせつつも再び立ち上がる。「この程度の攻撃で… くたばるかッ!!」
再びセイバーを握り懐に潜り込もうとするカナチ。「何度やっても同じなのです!!雷光―」

「見切った!!」カナチは背中回り込み、コイル状のパーツを斬り落とす。
電の背中で急激に解放された電気が爆発を起こす。「ぐうっ!!」電はその衝撃でダメージを受ける。
斬り落とされたパーツからは、依然として火花が散る。
「よくも… よくもやってくれたのです!!もう怒ったのです!!」電は残った電力を全て解き放とうとする。
「ライトニング…」電の武器の間に巨大な電撃球が作られる。
カナチはバスターを放つも、強力なエネルギーに遮られる。
「これで終わりなのです!!ライトニングボルト!!」

電が電撃球を放とうとした途端、背中のパーツが負荷超過オーバーロードを起こしたのか、一斉に爆発してしまう。
「がはっ…!!」電は爆発の衝撃で大きく吹き飛ばされてしまい、線路に頭をぶつけて気絶してしまった。
「大丈夫か!?」カナチが近寄ったが、反応は無い。カナチは焦ったが、まだ脈はあるので生きてる事は確認した。
そしてカナチは静かに電のアーマーのコアを破壊した。
「けんま、聞こえるか?対象を無力化した、回収を頼む。」そう言ってカナチは幼き兵士と共に拠点に戻った。

Stage6に続く

Stage6 -変幻-

カナチが電を抱えて帰ってから5日、けんまはずっと謎のデータの解析を続けていた。
札幌、渋谷、大阪、福岡の4箇所にあった"A.C."の部隊活動拠点を制圧して鍵は全て揃ったはずなのだが、解析は難航していた。
それぞれの街は賑わいを徐々に取り戻しており、人々が惨状を過去の物にしようとしていた頃だった。
ニュースでは当てにならない情報が流され、挙句の果てには陰謀論まで出回りだしていた。

拠点の中でも"A.C."の正体は分からず終いかと思われていたが、その日の夜、けんまが大慌てで全員を呼び出す。
「たっ、大変ンマーーー!!!」「けんま、どうしたんだ?いきなりそんな大声出して。」
「とりあえずコレを見てほしいンマ!!」けんまはテレビに解析した情報を出す。「何だよ…コレ…」
そこには通信の発信元と思われる海上要塞の座標及び"A.C."の活動部隊のリストが表示されていた。
「多分ここに"A.C."が居るンマ。割ったデータが正しければ、あの要塞はだんだんこっちに近づいてきてるンマ。」
「…戦いはまだ終わってないって事か。」「それじゃあ… 私達は囮だったって事!?」
「…多分そうンマ。要塞の兵装情報を見てる限りではアレが本命っぽいンマ。」
「けんま、アレに乗り込めそうか?」「カナチお姉ちゃん!?」
「セキュリティ解読さえすれば一応行けるンマが… でもカナチ、本気ンマ!?まだセイバーの修理は終わってないンマよ!?」
「バスターだけで何とかする。どうせ余裕は無いんだろ?」
「確かに計算が合ってれば2日程度しか無いンマが… それでもセイバー無しで行くのは無茶ンマ!!」
「じゃあ何だ?一日で直せるのか?」「それは…」けんまがうつむく。
カナチのセイバーはけんまの理解力を超えた設計で、けんまでさえ少なくとも一ヶ月は掛かる物だった。
「だったらオレがセイバー無しで行ったほうが―」

「待って。」座間子がカナチの話を遮る。「多分あの人なら… あの人なら1日で直してくれるはず…」
「ンマっ!?そ、その人はどこに居るンマ!?」
「それは言えないの… あの人ちょっと変わってるから。でも私が持っていけばやってくれると思うわ。」
「1日か… 賭ける価値はありそうだな。分かった、お前を信じる事にするよ。」
「カナチさん… 分かったわ。けんまさん、後で私が言った所に送ってくれない?」「わ、分かったンマ。」
そう言って座間子は別の部屋に行った。どうも電話してるようだが、相手が誰かは分からなかった。
しばらくして座間子が出てきて、けんまからセイバーを受け取ってどこかへ転送された。
彼女がどこに行ったのか気になったけんまは追跡しようとしたが、向こうから通信が切断されたらしく、追跡出来なかった。
「本当にアレを1日で直せるンマかね…」「今はアイツを信じるしかない。」

翌日になっても座間子との通信は途絶えたままだった。
泊まりになると言っていたので帰ってこないのはわかっていたが、通信も出来ないとなると不安だった、
「まさか座間子ちゃん、変な事に巻き込まれてないよね?」「座間子お姉ちゃんはきっと大丈夫なのです!」
電が拠点に漂う不安を和らげようとする。「果たして間に合うかどうか…」
その日いっぱいは座間子からの応答は無かった。

翌日、朝早くに座間子から連絡が入り、けんまは寝ぼけ眼で応答する。
「けんまさん、セイバーの修理、終わりました。」「ふぁー… 分かったンマ、今回収するンマ。」
けんまが座間子を回収する。「カナチさんは?」
「まだ起きてないンマ。けんまはまだ眠いからもう少し寝かせてほしいンマ…」
けんまはソファーで眠りについたが、しばらくして非常事態が起こる事はこの時誰も予想してなかった。

あれから2時間程度たった時、突如として防災スピーカーから鳴り響く"武力攻撃"を意味するアラート。
拠点中が騒然とし、出勤時間になりつつある街は一瞬で静まり返る。その瞬間、日本中がパニックに包まれた。
―一部の人物を除いては。

「…遂に奴が来たか。」アラートでカナチも眼が覚めたが、けんまと対照的に冷静沈着だった。
「あっ、カナチさん!セイバーの修理終わりましたよ!!」座間子がカナチにセイバーを手渡す。
「間に合ったのか。」「えぇ、あの人の技術力を甘く見てはいけませんわ。」
受け取ったカナチは早速セイバーを起動してみる。
「!! 何だこの出力…!!」出力がさらに上げられていたのか、カナチでも両手で持たないとセイバーに振り回されそうだった。
「座間子、コイツに何をした?」「あの人、"修理したついでに自分が出来る限界までチューニングした"って言ってたけどまさかここまで…」
「まさかコイツがここまでの性能を秘めていたとはな。面白い、使いこなしてやろうじゃねぇか。」
「凄いンマ… けんまでも悩んだあの構造を一日で修理した上にあそこまで改造するって一体何者ンマ…?」
「本人は"イリーガルな機械馬鹿"って言ってたけどね。そんな事より朝ごはん、用意しなくていいの?」
「忘れてたンマ!!」「けんまちゃん、まだ朝ご飯用意してなかったの!?なら私も手伝うから早く用意するよ!!」
けんまは六実に急かされながら、台所に朝食を用意しに向かった。

朝食を待っている間にテレビを点けると、どこの局も例の海上要塞と米軍及び海上自衛隊が交戦する様子が映されていた。
事態が事態なだけに当然と言えば当然なのだが、危機感と同時に違和感も伝わってきた。
今まで国内でここまで大規模な軍事テロが無かったので、この映像には複雑な感情を感じた。
しかし感心している場合でも無く、事態は深刻だった。
急遽招集された軍艦が海上要塞に攻撃するも、謎のエネルギーによって防がれ、反撃される様子が放映されていた。
あの要塞は緊急招集された艦とは言えど、軍艦の攻撃を物ともしない程に堅牢な物だった。
早く撃退しなければこのままでは"A.C."の部隊に制圧されてしまう、未曾有の国家存続危機でもあった。
放送は国内どころか世界中に恐怖と衝撃を与えた。一体あんな化物をどうやって倒すのか。

「カナチお姉ちゃん、電も行ったほうがいい?」「お前は来ないほうが身のためだろう。恐らくオレでやっとの所だ。」
「カナチさん、無理だと思ったら帰ってきてもいいのよ。」「分かってる。だがここまで来た以上、退く訳にはいかない。」
「お待たせンマ!朝ご飯出来たンマよ!」「…やけに今日は豪華だな。」
「カナチちゃんを私達も全力でサポートしたいから本気だしたわ!」「六実…」
「さて、けんまは先にセキュリティの解読の続きをしないといけないンマね…」けんまは飯を食べずに先に研究室に向かう。
が、すぐに出てきた。「何か分からないけどセキュリティが無効化されてたンマ… 誰かやったンマ?」
「あの人がやったんじゃないの?軍事通信解読したって自慢するくらいだし。」「恐ろしいンマ… その人って人間ンマよね?」
「一応人間よ。」(何だよ"一応"って…)

全員が食事を終え、出陣用意をする。
「…遂に決戦の時が来たか。」「えぇ。私だけでなく、皆がカナチさんの事を応援してるから… 絶対に帰ってきてね。」
「けんまも頑張るンマからカナチも負けないンマよ!!」「電も応援してるのです!!」
「無理そうなら私達も呼び出していいのよ?」「お前ら… よし、行ってくる。」
「カナチは絶対負けないンマ!」「…オレを信じろ。」
カナチは海上要塞に転送された。

海上要塞の小さな一室に降り立ったカナチ。外からはまだ砲音が聞こえる。
(妙な胸騒ぎがするな… 国家存続危機だからか?) カナチは何かを感じ取っていたが、それが何か分からなかった。
だがここで悩んでる時間は無い。カナチは小部屋から飛び出す。

カナチ小部屋から出て、真っ先に見た光景は不思議な物だった。
ぶら下げられてる訳でも無いのに宙に浮かぶ足場、宇宙でもないのに落ちていない水、所々で飛びかう謎のエネルギー球…
「何だこの空間… まさか別次元とかじゃないよな?」「一応GPSで捕捉出来てるンマが…」
カナチは浮いた足場に乗っても落ちないどころか、逆に上昇する。
「この空間一帯がトラップっていう訳か。」カナチは浮遊足場を次々に渡っていく。
浮遊足場を渡り抜けると、次は氷塊の間に出た。
しかし、この部屋も奇妙で、氷塊と燃え盛る炎が同じ空間に存在していた。
炎の側にある氷は何故か溶けず、炎も消えずに弾けながら燃えていた。
敵の構成も同じように、氷を吐き出す機械兵と火炎放射機を携えた洗脳兵が居た。
「…ここにも洗脳兵が居たのか。」カナチが敵を斬ろうとしたその瞬間、カナチの眼の前に電撃が落ちる。
「!!」カナチが上を見ると、放電装置を背負った機械兵が居た。
「流石に本命なだけあって守りは硬いか。」機械兵相手にウィルスを感染させてある程度減らせてるとは言えど、ここは敵の本丸。
並大抵の敵の量では無かった。「ならば!」カナチはバスターを構える。
「フォレストボム!」大地の力を固めた爆弾は機械兵に向けて飛んでいく。
炸裂した時に放たれた蔦は放電装置の僅かな隙間に入り込み、複雑に絡まり合う。
もう一度放電装置を起動した時、基盤がショートを起こし、内部から破壊する。
そのままカナチは残った2体も流れ作業の如く対応する。
「次だ!」カナチは更に奥に居る敵にも奇襲をかける。
機械兵に背後から斬りかかり、背中から両断する。そのまま側に居た洗脳兵にはバスターを連射する。
奥に居た機械兵もバスターで撃ち抜く。

そうしていくつかの部屋を切り抜けていったカナチだが、広く開けた部屋に出た時、カナチは目を疑った。
「そこに居るのは… 山岡!?何故こんな所に!」「よう、久しぶりだな。アンタも奴を追って来たのか。」
「あぁそうだ。分かっているなら先に進ませてくれ。」「おっと、そうはいかねぇ。"彼"にここを守れとの指令があった。」
「…そうか。」「だから俺はココでお前を倒す。」
「カナチ!知ってるンマか!?」けんまが通信機越しに驚く。「あぁ。アイツは… アイツはかつての仲間だ。」
拠点が騒然とする。「ど…どういう事ンマ!?」
「記憶が曖昧になってるが、これだけははっきりと覚えている。封印される前、オレはアイツと共に行動していた。
オレらは"A.C."を追っていた。ただ…」「ただ?」「それ以外の事が思い出せない。今覚えている事はこれだけだ。」
「何を一人で話している。お前の相手は俺だろ。さぁ、かかってこいよ。」「やるしか無いのか…!」
「いざ尋常に!」「「参る!!!」」
双方が剣を構え、お互いの隙を探る。歴戦の強者同士、いきなり突っ込むと反撃を喰らうのは分かっている。
カナチは必死に山岡の癖を思い出そうとする。山岡は鋭い目線でカナチの弱点を探る。
「どうした、以前のように突っ込んで来ないのか?」山岡がカナチを挑発する。
「あいにく以前どうしてたか思い出せないんでな。その挑発には乗らんぞ。」
「そうか、それは好都合。ならばこっちから!!」山岡が姿勢を低くし、弾丸のように突っ込んでくる。
山岡が手にした剣で斬りかかろうとするも、咄嗟にセイバーで防ぐ。
「そうだ!それでこそお前だ!」防がれたのを確認してから追撃しようとする。
「何故お前はオレに斬りかかる必要がある!」カナチも反撃の構えを取る。
「それはだな!"彼"が選ばれたからさ!」双方の斬撃が衝突する。
「"彼"とは誰の事だ!」鍔迫り合いしながら山岡に問う。
「教えてやろう!」山岡はカナチの斬撃を跳ね飛ばし、一旦距離を置く。
「"彼"とは私の同期… いや、我らが"尊師"だ!喰らえ!スクリーンディバイド!!」
山岡の剣から一瞬刀身が消えたかと思えば、何と離れた場所に居るはずのカナチを斬撃が襲う。
「ならばその"尊師"とやらに何を望む!」カナチも負けじと剣を携え一気に突っ込む。
「喰らえ!雷光閃!!」「遅い!!」何と山岡はカナチの斬撃を見てから回避した。
「その程度では"尊師"が望む"優しい世界"には適応出来ないぞ!」山岡がカナチの背後に回り込む。
「前より強くなってるが、まだ俺に追いついてないぞ!」山岡がカナチを羽織っていたマントで包む。
「奥義!アスパイアブレイク―」「させるか!昇炎斬!!」カナチはマントごと山岡を斬る。
山岡は寸前で回避したが、切っ先は山岡の髭を焦がす。「ほう… 少しはやるな。」
「当たり前だ。でなければここまで来れてないからな。」カナチは焼けたマントを払う。
「だが俺にはその斬撃に迷いが見える。だから俺に攻撃が当たらない。先に進めないのだ。」
「悩みだと?」「悩みを捨てきれてないからいつまでも俺の格下止まりなんだぞ!フミコミザン!!」
山岡が弾丸の如しスピードでカナチに斬りかかる。
「クソっ…!」カナチは反応したが、完全に防御する事は出来なかった。
「これが俺とお前の実力差だ!分かったか!」山岡は再び追撃の構えを取る。
「させるかっ…!!」カナチはバスターで咄嗟に山岡の腕を撃つ。
山岡の構えが解ける。「ほう、そんな物に頼るのか。お前らしくないな。」
「言ったはずだ、以前のやり方を思い出せないと。」カナチは再び立ち上がる。
「だが、思い出せないからこそ出来る事もある!フレイムアロー!!」
放たれた炎の矢は山岡の逃げ場を封じる。
「これでどうだ!水月斬!!」カナチは大きく振りかぶり山岡に斬りかかる。
「何だと!?」山岡はカナチの斬撃を防ぎきれなかった。
「…面白い、ここからが本番と行こうじゃないか。」
山岡は体制を立て直しながら笑うように呟く。
「我が力!"尊師"に認められ、"Colonel大佐"として認められた力を見せてやろう!!」
山岡の発した言葉と精神の昂りに同調するかの如く、山岡のセイバーが唸り、刀身が紅く染まる。
「今までの力は抑えていた物だという事を教えてやろう!クロスディバイド!!」
紅に染まった刀身は唸り、揺らめき、煙の如く形を失う。
同時にカナチを貫くように2つの斬撃が同時に発生する。
「ぐはっ…!!」
X字にカナチを貫こうとする斬撃は、強化されたセイバーの出力でもいなしきれないくらいの力だった。
完全に相手のペースになっている。このまま戦い続けたらカナチが負けるのは確実だ。
「おっと、今のはただのウォームアップだぞ。こんなのでくたばってたらこの先には進めないぞ。」
山岡が再びカナチを挑発する。カナチのセイバーを握る手にも力がこもる。
「ならば!!」カナチは飛び石を渡るかの如く、低い姿勢で一気に突っ込む。
「この!オレが!お前に!負けるなど!誰が!決めた!昇炎斬!!」カナチが怒涛の連続攻撃を叩き込むも、全てかわされてしまう。
―最後の一発を除いて。
揺らぐ炎は山岡のアーマーを焦がす。ようやくまともな一撃が入ったのだ。
「ようやくか。よく当てれたな。それだけは褒めてやる。だが… それだけでは足りん!!」
再び剣を構える山岡。その構えはフミコミザンの物だった。
「喰らえ!フミコミ―」「させるか!!」カナチは振り抜く寸前で山岡の剣を弾く。
「何!?」剣を弾かれた事に動揺する山岡。
「一度喰らってアンタの癖は何となく分かった。こっちも成長してない訳ではないんでな。」
「…そうだ。それでこそお前だ。お前は以前から"喰らって覚える"タイプだった。」
「…昔のオレの事か。」「俺は以前からお前のその能力が羨ましいと思っていたくらいさ。」
「他人の強烈な技くらい一度見たら誰だって覚えるだろう。」
「いや違う。俺が見た中でそんな事が出来たのはお前くらいだ。」
「…何が言いたい。」「つまりだな… お前は最初から戦うべくして生まれた存在なのだ。」
「戦うべくして生まれた存在…」「隙あり!!」山岡は動揺したカナチに斬りかかる。
「覚えてないだろうが言ったはずだ。"戦いは一瞬たりとも気を抜くな"と。」
咄嗟に反応して無理やり鍔迫り合いに持っていくカナチ。
「その反応速度、見事だ。ここまで来れただけあるな。」
カナチの剣を払い、再び距離を取る山岡。
「そしてお前は今この戦いの中でも洗練されている感じがするな。流石は天才だ。」
「そうか。だが―」カナチも山岡の如く高速で突っ込む。
「出来れば剣は振るいたくないがな!水月斬!!」
山岡も剣で防ぐ。「いつまでそんな世迷い言を言っている!!」
追撃体制に入るカナチ。「世迷い言だと?」カナチの剣に電撃が走る。
「山岡ァ!何故オレがこうしてお前と戦う事になったのか考えろ!雷光閃!!」
セイバーは山岡の頬を掠める。
「…今のオレは誰も殺したくない。昔はどうだったか知らないが、少なくとも今はそうだ。」
「フッ…」山岡はカナチの言葉を鼻で笑う。「何がおかしい?」
「争いの為に生まれた者が争いを拒むとはな… それがどれだけ無駄な事か分かってるのか?」
「…どういう事だ。」カナチは剣を突き出したまま山岡に問う。
「お前はだな… お前の信念を真っ向から否定する事が最も重要なのだよ!!分かるか!?」
「山岡… 貴様ァ!!」カナチがキレる。山岡と同じように、精神の昂りに応じるが如く、刀身が蒼く輝く。
「そうだ!その感覚だ!!」カナチの剣を即座に弾き、カナチを飛び越え距離を取る。
「お前の力は怒りによって解放されるのだ!!」山岡はクロスディバイドの構えを取る。
「怒りの力、どれ程の物か見せてもらおう!!クロスディバイド!!」2つの斬撃がカナチを襲う。
「見切った!!」カナチはいなす事すらせず避ける。そのままの勢いで山岡に突っ込む。
「覚悟しろ山岡ァ!!」怒涛の連撃で山岡に斬りかかる。
剣は荒々しくも力強い軌跡を残すが、全てかわされてしまう。
「どうした!それがお前の本気か!」山岡は剣で受けるどころか身体を軽く反らすだけで全てかわしてしまう。
しばらく挑み続けるも、一発も当たらない。息を切らすカナチと余裕の表情すら見せる山岡。
「何故当たらない…!」「さぁな。お前がそんな事も分からないとは俺は思わないぜ?」
剣を持つカナチの手には焦りの色が見え始める。当然ながらこの戦闘には他の仲間はついて行けてない。
カナチの中では怒りが焦りに変わり始めていた。怒りが強かった分、また焦りも強い物となる。
山岡が何もせずともカナチは窮地に追い詰められる。一体何が悪かったのか、今のカナチには見当も付かない。
焦りで周囲の音が聞こえなくなっていく。砲音も、山岡の声も、仲間の声も、自分の声さえも―
自分でも何を言っているのか分からず、知る手段も無かった。
山岡がカナチに止めを刺そうと一気に距離を詰めた時、カナチの脳裏に聞き覚えのある声がした。

「激流に逆らおうとする者は自らの身を滅ぼす。だが激流に同調する者はどうか?答えは自分で見つけよ―」

ふと意識が戻るカナチ。眼前には迫る山岡。
いつか聞いた師の言葉を思い出したカナチは最小限の動きで山岡の斬撃をいなす。
同時に忘れていた一つの技を思い出す。その技は未完成だったが、山岡の勢いを利用すれば完成しそうな予感がしていた。
(師匠、貴方の言っていたことの意味がようやく分かった気がした。言いたかった事はこういう事なんだな!)
自分の感覚に確信を持つカナチ。
「今の防御、見事だ。だがコイツはどうかな!!」再び猛牛の如し気迫で迫る山岡。
「甘い!!」山岡の斬撃の勢いを利用し、宙を舞うカナチ。(この感覚… 出来る!)
「何だと!?」斬撃を利用され、驚く山岡。空中で回転しながらセイバーを構えるカナチ。

「一刀両断!幻夢零!!」

強化されたセイバーの刀身がそのまま衝撃波となって地を割りながら飛んでいく。
しかしこの威力ではアーマーを粉砕するどころか山岡すら真っ二つにしてしまう。
「山岡ァ!よけろ!!」カナチは山岡に叫ぶ。
山岡もクロスディバイドで相殺しようとしたが、威力が高すぎて斬撃すら"斬り裂いて"しまった。
山岡は間一髪のところで避けたが、衝撃で壁にぶつけられる。山岡が着ていたアーマーの下には砕けたコア部分が見えていた。
彼も他と同じく、"A.C."の被害者だった。

「あれ… 俺はどうして…?それになんだ?この格好。」しばらくして山岡が目を覚ます。
「山岡、大丈夫か?」「えーっと、あなたは…」「オレはカナチだ。」
「カナチ…」山岡はカナチの名前を聞いてしばらく黙り込む。
「あああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!」山岡が突如大声を上げる。
「ど、どうしたんだ!?いきなりそんな大声出して!?」不意の自体に驚くカナチ。
「カナチさん、早く奴を止めてください!!このままだと…!!」どうやら山岡は記憶が残っていたようだ。
「分かってる、鍵出してくれないか?」カナチに言われ、着ていたアーマー中を急いで探す山岡。
「あったコレです!早く止めてください!!」「確かに受け取ったぞ。お前は一旦拠点に帰ってろ。」カナチは転送マーカーを渡す。
「それ、付けたらオレの拠点に帰れるぞ。今動くのは危険だから一旦安め。」「お、おう。じゃあ気をつけてな。」
山岡は落ち着かぬ様子で拠点に戻った。拠点はざわめいたが無理も無い。今まで男性が居なかっただけに山岡の存在は異質だった。
「けんま、山岡はさっきと違って素は紳士だからそんな騒ぐ必要無いぞ。」
カナチは山岡を見送って再び歩みだした。

ここまで来れば玉座までもう一息、しかし奇妙な空間は奥へ奥へと広がっていた。
まるで現実世界と仮想空間の境目が分からなくなっているようだった。
しかし奥から何か強烈な物を感じるのでこの先に何かがあるのは確実だ。
カナチはひたすら奥へ進む。進むごとに仮想空間に近づいているような気もする。
敵も様変わりしており、いつの間にか洗脳兵はおらず、機械兵ばかりになっていた。
「…別世界に迷い込んでないよな?」「多分時空は乱れてないと思うンマが…」
カナチが更に進むと、シャッターを発見した。「ようやく玉座か。早いとこここから去りたいところだな。」

カナチが中に入ると、これまた奇妙な空間の中に奇妙な"何か"が居た。
「…お前ナリね、ひろあきを倒したのは。」「あぁそうだ。お前の名は何だ?」
「当職はカラコロス、この要塞の主ナリよ。」カラコロスはこちらを向き、首元から炎を吹き上げる。
「ここまで誰も来なかったナリが、ようやく誰か来たナリね。でも当職は忙しいナリ。」
「外の事か。」「●はい。でもお前には当職の邪魔させないナリよ!」
「カナチ、来るンマよ!」「分かった!」
「バトルオペレーション、セット!」「イン!」
「すぐに灰にするナリよ!」
カラコロスが戦闘意思を示した瞬間、空間が一瞬歪む。今まで絨毯だと思っていた物が突如パネル状に変化する。
カナチが困惑してる間に先に仕掛けたのはカラコロス。目の間から居なくなったと思えば突如上から降ってくる。
カナチは間一髪のところで避けるも、再びテレポートする。
「コイツ…!超能力者か!?」カナチが目で追うも、テレポートされて見失う。
ノイズとともにけんまから通信が入る。「―ようやく繋がったンマ。」「けんま、どうした?」
「どうやらカナチはカラコロスの力で一種の電脳世界に入り込んでしまったみたいンマ。」
「電脳世界… というと?」けんまと通信してる間にもカラコロスは休む間も無く猛攻を続ける。
「お互い見てる限りデータ化されてるっぽいンマ。だからその空間では―」
再びノイズが強くなって聞こえなくなる。同時にカラコロスの眼も光る。
カナチの眼前に謎の光が発生する。本能的に危険を察知したカナチはすぐさま離れる。
光が大爆発を起こす。爆発が空間を揺らす。不思議なことに衝撃波と鼓膜を破るくらいの爆音は発生しなかった。
爆発が落ち着くとともに通信も再度安定する。「―カナチ!何があったンマ!?」
「分からない。ただアイツがいきなり爆発を起こしただけだ。」
「通信妨害ンマか…?まあいい、さっきの話の続きンマ。カナチの居る電脳世界では、全てがデータ化されてるみたいンマ。」
「…何となく察した。」「話が早いンマね。多分カナチの予想通り、データさえ書ければどうにでも出来る世界になってるンマ。」
「奴の動きは全部その影響か。」「カラコロスが有利になるコードなのは間違いないっぽいンマね。」
「書き換え次第で強化も弱体化もするって事か。」「そうンマ。だからけんまも―」再びノイズが強くなる。
再びカラコロスも動き出す。どうやらカラコロスの行動が止まると通信が安定化するようだ。
カラコロスはちゃぶ台返しの要領で床を剥がそうとする。
「させるか!」カナチもバスターを連射しながら突っ込む。
カラコロスが床を弾き飛ばす。パネル状の床は破片となってカナチのほうに飛んでくる。
「当たるか!」カナチは軽やかに飛んできた破片を飛び越え、カラコロスの懐に潜り込む。
「喰らえ!!」カナチは怒涛の猛攻をカラコロスに叩き込む。
しかしカラコロスからは血が飛び出る事もなく、それどころか傷一つすら付かなかった。
カラコロスは再びテレポートでカナチの元を去る。同時にけんまとの通信も安定する。
「―カナチ!」「どうもアイツが動くと切れるみたいだな。援護出来そうか?」
「分からないンマ。今やってみてるけど…」通信機越しにひたすらキーボードを叩く音が聞こえる。
カラコロスがようやくじっとしたかと思いきや、いきなり体が光りだす。
光が落ち着いたかと思ったら、カラコロスが放っていた光の色も変わった。
先程まで赤い炎のような光を放っていたが、今度は硫黄のような黄色い光を放っていた。
「光無きところに光を。」カラコロスがそう言い放つと、カナチの足元のパネルが突如電気を纏いだす。
そして次の瞬間、その電気に引き寄せられるかのように雷が落ちる。カナチは雷が落ちる瞬間にカラコロスのほうに突っ込んで回避する。
再びカラコロスを斬りつけるも、やはり傷は付かなかった。「けんま!応答しろ!」「カナチ!どうしたンマ?」
「カラコロスを斬っても傷一つ付かないがちゃんと攻撃は通ってるのか?」「ちょっと待ってほしいンマ…」
再びけんまはキーボードを叩く。「…あったンマ!どうやらちゃんとダメージは通ってるみたいンマね。」
「一応斬った感覚はあったから通る事には通ってたんだな。」「一応このくらいのデータなら…」けんまの打鍵音が加速する。
「よし、出来たンマ!これでカナチにもカラコロスの体力が見えるようになったと思うンマが…」
そう言われ逃げ回るカラコロスをカナチが見ると、確かに足元に数字が表示されていた。どうやらこれが体力らしい。
「攻撃が通ってる事が分かっただけでもありがたい。サンキューけんま。」「容易い御用ンマ!」
「当職の秘密を探るとはいい度胸ナリね。」そう言うとカラコロスは再び強く光りだした。
今度は体から翠玉(エメラルド)のような光を放ち出した。
カラコロスが「身が震える。」と言うと、いきなり部屋自体が大きく揺れだした。
「カナチ!足元から何か来るンマ!」けんまがノイズまみれの通信でカナチに伝える。
カナチはそれを聞いて壁伝いに上へ上へと逃げる。
部屋の揺れが一段と大きくなった時、カラコロスが居るパネル以外を突き破るように巨大な木の杭のような物が飛び出してきた。
「あんなのに貫かれちゃお陀仏だな…」カナチは高所で杭が引っ込むのを待った。
不思議なことに、杭が引っ込むのと同時に割れて無くなったと思っていたパネルがどこからともなく出現する。
どうやらこの空間では自分達だけでなく、部屋自体がデータ化されてるようだ。
再びカラコロスは逃げ回る。カナチは動かずして上から落ちてくるのを待ち構える。
カラコロス視界から消える。もしやと思って上を見ると、やはり上から落ちてきた。
「来たな!」カナチは読み通りカラコロスを迎撃する。3段斬りに加え、昇炎斬も当てる。
カラコロスの足元に出ていた数字が大きく減る。「…どうやら弱点のようだな。」
「今のは痛かったナリよ。でもこれはどうナリか?」そう言うとまたカラコロスの体が光りだす。
カラコロスは瑠璃色の光を纏い、「始まりはいつも雨でした。」と呟くと、謎のエネルギーが上空で氷塊を形成する。
「裁きを。」カラコロスがそう言うと、空中で固定されていた氷塊が落ちてきた。
氷塊はカナチを追跡するように落ち、逃げ場を奪うように追い詰める。
カラコロスは次の攻撃の体制を整えている。「クソっ…!ならば!」カナチはセイバーを構える。
「雷光閃!」電撃を纏い、一気に突き抜ける。切っ先はカラコロスの腹を刺す。
「ナリッ!?」カラコロスは不意に攻撃されたからなのか、全身が麻痺して動かなくなる。
「今のうちに!!」カナチは畳み掛けるように連撃を決める。カラコロスの体力が残り300を切る。
カラコロスは再び翠玉色の光を纏い、カナチに「もうやめにしませんか。」と言う。先に仕掛けてきたのはそっちだろうが。
奴が翠玉色の光を纏ったという事はもう一度あの攻撃を出そうとしている。さっき分かったが、ギリギリ一発くらいなら入れる隙はある。
「身が震える。」そう言い放ち、再び部屋ごと揺らす。
「今だ!」カナチは壁を蹴り、回転しながら宙に舞う。
「一刀両断!幻夢零!!」放たれた斬撃はパネルを斬り裂きながらカラコロスを襲う。
カラコロスは逃げようとしたが、時既に遅し。強烈な斬撃はカラコロスを真っ二つに斬り裂く。
「自分の無力感… なぜ…こんなに…」カラコロスは最後に何か言っていたようだが、カナチには聞き取れなかった。
斬られた衝撃でカラコロスの体から何かのチップが飛び出てくる。カナチはそれを拾おうとしたが、その瞬間に山岡から通信が入る。

「カナチ!早く逃げろ!!崩壊するぞ!!!」山岡がそう言った瞬間、カナチの居た空間が再び歪む。
どうやらあの電脳空間はカラコロスの力で維持されていたらしく、息絶えると同時に元の空間に戻った。
そして同時に海上要塞自体も大きく揺れだす。明かりが消え、壁も崩れだす。
どうやらカラコロス自体が動力源になっていたようだ。要塞はゆっくりと落ち出す。
息絶えたカラコロスの体からは青白い光が発生している。カナチは急いでチップを拾い帰還する。

カナチが拠点に戻り、アーマーを脱ごうとした瞬間、拠点が大きく揺れだす。
地震か!?」揺れはしばらく続いた。
揺れが収まって、カナチはけんまに拾ったチップを手渡す。
「山岡は大丈夫なのか?」「見た感じ、大きな怪我は無いンマ。」「俺を誰だと思ってるんだよ。」
「…その様子だと全然問題は無さそうだな。」「あの程度の怪我、回復を待つまでも無いぞ。」
「で、さっきの揺れは何だったんだ?」「…アレは奴が爆発したんだ。」
爆発と聞いて一同が騒然とする。「爆発…ンマ?」「あぁそうだ。奴の体で発生していた核エネルギーが抑えられなくなったんだろう。」
「という事はオレが見たあの光とも関係がある訳か。」「…チェレンコフ放射ンマね。」
「何だそれ?」「詳しい説明は省くけど、簡単に言えば物質中の原子が速すぎる時に出る光ンマ。大抵の場合、核施設関連で発生するやつンマ。」

不安になった電がテレビを点けると、海底でカラコロスが爆発する瞬間の映像が流れていた。
マイクをぶち壊す程の爆音や異様な揺れと同時に巨大な水柱が立つ瞬間が収められていた。
側に居た複数の軍艦は押し流され、海面が大きくうねる様子が映されていた。
その爆発で津波が発生したらしく、画面には津波警報の表示がずっと出ていた。

カナチは報道内容に衝撃を受け、一人部屋に戻る。心配した山岡はカナチの部屋に入った。
「お前が辛いのも分かる。"A.C."が何を考えていたのかは知らないが、お前は救世主なんだ。」
「…オレはアイツを倒して良かったんだろうか?」カナチは暗い声で山岡に問う。
「俺は倒すべきだと思ってたぞ。あのままだと国自体が滅んでいたかもしれん。それに―」
「分かった、しばらく一人で居させてくれ…」カナチはそう言って山岡を部屋から追い出した。
(カナチがあそこまで辛いのは分かるが、奴を倒し損ねてたらもっと辛かっただろうな。)
山岡は言いたかった事を心に秘めつつ部屋を出ていった。

今回の事件でカナチはしばらく部屋から出てくる事は無かった。

Stage7に続く

Stage7 -流星-

カラコロスを倒して数日、カナチは部屋を出れないで居た。皆が元気付けようとしたのだが、カナチは聞く耳を持たなかった。
強靭な精神力を持つカナチと言えど、所詮は人間。完全無欠でないが故に何らかの理由で再起不能になる事もある。
カナチは人間であるが故の苦しみに蝕まれていた。
けんまがカナチに昼食を持っていき、戻ろうとした瞬間、突如入電通知が鳴り響く。けんまは嫌な予感がするも、通信機に向かう。
そのただならぬ様子を察した山岡もけんまの後を追う。

けんまが通信に応答すると、そこには逆光に浮かび上がる謎の人物が映し出されていた。
「…ようやく出たようだな。遅かったぞ。」加工されて誰だか分からない声で喋りだす。
「お前は…!!」見覚えがあるのか、山岡が反応する。
「…その声は山岡か。ウチの下から逃げ出してどこに行ったんかと思ったらそんなとこに居るんか。つべこべ言わんとはよ帰ってこい。」
どうやら通信相手は"A.C."のようだ。「生憎お前の下に戻る気なんぞ初めからないぞ、"A.C."さんよ。」
「そうか、ならそれはそれでいい。この機会や、裏切り者も纏めて全員"処理"したるわ。」「"処理"だと?何を言ってやがる。」
「アンタらが"協力"してくれたおかげでこっちの事は注目されずに済んだわ。」
「まさかあの海上要塞は最初から…!!」「ようやく気づいたようやな、その通りや。"アレ"は最初からウチが時間稼ぎのためにに用意したんや。」
「完全に騙されたンマ…」衝撃の事実に呆然とするけんま。「今更後悔しても遅いわ。こっちの計画は最終局面まで来たんや、ここまで来たら誰にも邪魔させんで。」
「最終局面だ?何を言っている。」「最後にこれだけ言っておくわ。3日後にはアンタらは全員こっちの物になる。残された自由を楽しむんやな。」
"A.C."はそう言い残して通信を切った。

「3日か…」「時間がありそうで無いンマね…」「おい、通信元割れるか?」「割れると思うが… どうするンマ?」
「どうするも何も決まってんだろ、俺がブッ壊しに行くんだよ。」「まだ傷が回復しきってないから…」
「うるせぇ!つべこべ言わずにやれ!」「分かったンマ…」けんまは通信の解析を始める。
少し時間は掛かったが、すぐに発信元は特定された。
「オーストラリアの荒野地帯… 何でそんな所ンマ?ちょっと調べてみるンマ。」けんまは衛星写真を調べ始める。
しばらくして、同じく衛星写真を眺めていた山岡が何かに気づく。「おい、左下のアレ、何だ?」
画面の端には何かの建築物が見切れていた。「ちょっと待つンマ。」けんまは別の衛星写真を取得した。
「「これは…!!」」二人は驚愕した。そこには大量のパラボラアンテナと小さな建物が写っていた。
「これ、見る限りつい最近建てられた物みたいンマね。」「電波望遠鏡人工衛星用の通信設備じゃないよな、これ…」
「まだ分からないから一旦調べてみるンマ。」けんまは海外のデータベースを参照する。
しかし幾ら探せども一向にこのアンテナの情報が見つからない。「なぁけんま、もしかして…」
「…多分間違いないンマ。NASA国立天文台機構のデータベースに無いのも見ると、これが"A.C."の物である可能性はかなり高いンマ。つまり…」
「―奴が宇宙に居るって事か。」「カナチ!もう大丈夫ンマ?」「さっきの通信を聞く限りはもう地上に居ないと思うぞ。それに…」
カナチが解析途中のカラコロスのチップを拾い上げる。
「コイツの件をいつまでも引きずってるようじゃ、こっちが負ける事は間違いないからな。」
「ようやくいつものお前に戻ったか、俺も心配したぞ。」「…なぁ、この事を皆に伝えたほうがいいか?」
「僕は伝えたほうがいいと思うンマ。宇宙に行くとなると距離的に簡単に戻ってこれないから、どうすべきかを皆と相談したほうがいいと思うンマ。」
「俺も同じく。もしかしたら何か分かるヤツがいるかもしれないからな。」「…そうか、なら夕食の時にでも言うか。」
カナチはそう言い残し、その場を去った。

その夜、カナチは久々に食卓に顔を出した。
「カナチさん、もう大丈夫なんですか?」「あぁ、もう落ち込んでいられない状況になったからな。」「落ち込んでいられない状況…?」
「そうだ。今からその件について伝えようと思っていた。」「何ですか?」
「実は今日の昼間、"A.C."から通信が入った。そこでは3日後にこちらに対して何らかの行動を起こすと言っていた。」
何も知らない4人は驚く。「どういう事…?」「それについてはこっちも分からないンマ。ただ…」「ただ?」
「この間の海上要塞よりも規模が大きくなると思うンマ。更にあれから分析を続けてみたら、どうも宇宙に居るのは確定っぽいンマ。」
「…あまり信じたくないけど、私の直感だと衛星軌道上から何かしてきそうね。」「サテライトキャノンでも使うのですか!?」
「まだそこまでは分からないンマ。どの衛星か特定出来てないからどういう事をしてくるか分からないンマ。」
「でも攻撃用なら探しやすいんじゃないですか?」「…恐らく"A.C."は旧式の軍事技術を流用してる可能性があるンマ。」
「現行の軍事衛星との区別が付きにくいって事か。だが前に国際条約で攻撃衛星は禁止されたはずじゃ?」
「あの条約はまだ中東の一部の国がまだサインしてないから散々批判されてるだろ。」
「となると、事はかなり厄介ね…」「今日含めあと3日でどうにか出来るのか?」
「多分特定は出来ると思うンマが… 問題はそこからンマ。場所を特定しようにもセキュリティを突破出来るかが問題になってくるンマ。」
「でもまずは衛星の特定する事が重要でしょ。私達はけんまちゃんを信じてるんだからね!」
「そうンマね。ならご飯を食べたらまた挑戦するンマ!」「…また徹夜だけはするなよ?」
7人は初めて全員揃って夕食を食べた。7人も居るとなるとかなり狭かったが、そんな事は彼女達にとっては大きな問題でなかった。

翌日、けんまは衛星の特定には成功したものの、セキュリティ突破に難儀していた。
(やはり軍事技術を流用してるだけあって相当なセキュリティンマ…)3時間悩んでも一向に緒が見つからない。
「けんまさん、調子はどうですか?」座間子が差し入れに来る。「駄目ンマ… 復号化鍵が未だに分からないンマ…」
けんまが座間子に資料を見せる。「一応特定は出来たンマが、ここから先に進めそうにないンマ…」けんまは机にへばり付く。
「それは大変ね… ところでこの資料、ちょっと借りてもいい?」「別にいいンマが… 何に使うつもりンマ?」
「ちょっとこっちも調べてみたい事があってね。」そう言って座間子は資料を持って出ていった。
「どうしてこう上手く行かないンマかね…」けんまは不満をボヤきながら再びパソコンの画面に向き合った。

世間はまだ恐怖が迫っている事を知らず、テレビではいつもどおり下らないバラエティ番組が流れていた。
「…このまま何も無く終わったらいいのにね。」「電は… 電はどうしたらいいのですか?」
迫りくる恐怖に怯える電。六実は怯える電を優しく抱きしめる。
「きっと大丈夫よ。この間の海上要塞の時だってどうにかなったでしょ。」
落ち着けようとする六実だが、電の目には涙が浮かぶ。「それでも… 怖い物は怖いのです…」
(今回ばかしは私も不安だけど… それでも…!)

その日の晩、けんまは情緒不安定になっていた。「ンマ…!!どうして…!どうして!!」
ソファーに倒れ込み動かなくなるけんま。「もう考えるのが嫌なくらい頭痛いンマ…」
「あの衛星、NASAのデータベースに載ってないのが腹立つな。どうやって他の衛星回避してんだ?」
山岡はけんまの出した資料を見ながらコーラを飲む。
NASAのデータベースから他の衛星の位置抜いて使ってるっぽいンマ。軍事衛星に関しても位置だけは載ってるンマよ。」
寄生虫か何かかよ、タチが悪いな。」「全くンマ… もう今日は晩ご飯食べたら寝ていいンマか?」
「その様子だとそれ以上やったら流石に体調崩すから今日はさっさと寝たほうがいいと思うぞ。」
「分かったンマ… 今日はこれ以上考えたくないンマ…」
けんまはさっさとご飯を食べると、そのまま風呂も入らずに寝た。
けんまが寝て2時間くらい経った頃だろうか、作業途中のまま放置されていたパソコンに一通のメールが届いた。

翌朝、9時を過ぎてもけんまは起きてこなかった。痺れを切らした六実はけんまを起こしに行く。
「けんまちゃん、もう9時ですよ、いい加減起きてください!」「…ンマっ?」けんまは六実に布団を剥がされようやく目覚める。
「昨日頑張ったみたいですけど、まだ終わってないんでしょ。」「そ、そうだったンマ!早くやらないと―」
けんまは慌ててパソコンに向かうが、一通のメールが届いている事に気づく。
(何か来てるンマ… 誰からンマ?)けんまが届いたメールを開くと、けんまは驚愕した。
そこにはけんまが散々悩んだ暗号化の復号化方法と暗号生成鍵及び通信の暗号化アルゴリズムが一通り書かれていた。
「!? ど、どういう事ンマ!?あれだけ悩んだ方式が…」メールの内容に驚愕するけんまを影から見つめる座間子。
「これ、偽情報じゃないンマよね…?」けんまは恐る恐るメールに書かれていた通りの手順で復号化に挑む。
コマンドを実行した時、けんまは恐怖すら覚えた。何とあれ程悩んでいた衛星の情報があっという間に筒抜けになったのだ。
「何がともあれ、衛星にアクセス出来たみたいね。どう?そこからどうにかなりそう?」側で見ていた六実がけんまに問う。
けんまは驚きで声が出ないまま、ひたすらキーボードを叩く。画面には様々な情報が映し出される。
「これは…!!」けんまは慌てて資料を出して食卓に走った。

「ようやく起きてきたのです!寝坊助さん!」「あら、やっと起きたのね。」十七実と電がけんまを待っていた。
「あれ… カナチはどこに居るンマ?」「カナチさんなら先程山岡さんと一緒に出ていきましたよ。」
「電話持ってるンマか…」けんまは急いで電話を鳴らし、カナチを呼び出す。
「どうした、けんま―」「カナチ!!早く帰ってくるンマ!!アクセス出来たンマ!!」
そのままけんまは興奮気味に何かを話していたが、カナチには理解出来なかった。

けんまに呼び出され、足早に帰ってきたカナチと山岡はけんまに押されて食卓に向かう。
「まずはこの資料から先に読んでほしいンマ!」けんまが出した資料には衛星の事が書かれていた。
資料には衛星の名前も記されており、名前から今までの規模を容易に上回る事が想像出来た。
その衛星の名は"The Ragnarok終焉の日"と記されていた。
ラグナロク… この設計はそれほど威力が高い物なのか?」
「計算が間違ってなければ、最大出力だと北海道を丸ごと焼けるくらいンマ。」
「北海道全域が炸裂範囲!?」けんまの言葉を聞いて、一同愕然とする。
「見てる限りは核兵器を軽く上回る衛星兵器ンマ。もしこれが起動すると…」
「文字通り"終焉の日"と化す訳か。」「ンマ。しかも厄介な事に、今まさに充電されてるンマ。」
「…どのくらい余裕があるのですか?」電が涙声で聞く。「…多分あと15時間程度ンマ。」
「ハッキングは試したの?」「こっちからの命令は何も送れなかったンマ。多分、中から直接制御してるンマ。」
「この大きさだと確かに中に相当量なクルーが居てもおかしくはないな。」
ISSより大きいって相当ね… どうやって打ち上げたのかしら?」
「そこまでは分からないンマ… でも見た限り中に制御装置があるのは確定してるからそこに直接アクセスすれば…!」
「…そこにアクセスするのがオレの仕事って訳か。」「多分見る限りではこれを挿したらこっちから制御出来るンマ。」
けんまはカナチにドングルを渡す。「この作戦、失敗出来ないンマよ。」
「あぁ、分かってる。 …全てはオレに託されたと。」「カナチならきっと出来るンマ。」
「…そうと決まればやるしか無いな。」「俺も一緒に行きたいが行けるか?」
「残念だけど… 衛星軌道上までかなり距離があるから一回で転送出来るのは一人だけンマ。それに充電にも時間が掛かるンマ。」
「そうか。なら俺はここで待っていたほうがいいのか。」「でも出撃用意はしといてほしいンマ。何があるか分からないンマ。」
「分かった。いつでも出れるようにしておこう。」「それじゃあ、今回のルートを説明するンマ。」
けんまは内部構造図を卓上に出す。
「調べた結果、ここの転送装置から送れそうな場所はここになるンマ。で、コンパネと思われる物がここにあるンマ。」
けんまが説明したルートは下層にある倉庫に転送した後、内部を伝って上層を目指すルートだった。
「多分扉には電子ロックがされてると思うけど、そのドングルをかざせば解錠出来ると思うンマ。」
しばらくけんまは作戦の説明を続けた。

「―これが今回の作戦である、"The Punisher断罪者"の概要ンマ。」
(いつの間にそんな名前付けたんだ…)山岡は声にはしなかったものの、作戦名にツッコミを入れた。
作戦の概要を聞いたカナチは最後の出撃用意をする。「…これが本当に最後だよな。」
「映像分析した結果、"A.C."があの中に居るのはほぼ間違いないンマ。だからアレを停止させれば…!」
「分かった。ならば行って倒すまでだな。」けんまの説明を受け、カナチは出撃準備をする。
カナチの出撃準備が終わるまでの間、その場には海上要塞の時とは違う空気が流れていた。
恐怖、困惑、不安、そして希望―
「よし、これだけ持っていけば大体対処出来るだろう。それじゃあ、行ってくるぞ。」
カナチは皆に見守られ、ラグナロクへと向かった。
「必ず帰ってこいよ…」山岡は一人カナチに向けて呟いた。

(…ここ衛星軌道上だよな?)ラグナロクに到着したカナチだが、少し違和感を覚える。
本来衛星軌道上まで来ると、上下の概念が無くなるのだが、ラグナロクには存在した。
恐らくラグナロクのどこかに重力を発生させる装置があるのだろう。
吸い込まれるかのような静寂の中、カナチは上層に向かって進みだした。
周囲の構造を把握するために静かに物陰に隠れるカナチ。遠くから響いてくる足音に妙な緊張を覚える。
顔を出して確認したいところだが、障害物も無く、覗き込もうにも覗けない。
やがて足音はカナチが隠れていた柱の手前で止む。静かに鳴るモーターの音。カナチは息を潜める。

しかしその静寂はすぐに破られた。
「異常な生体反応確認!異常な生体反応確認!警備班は直ちに出撃せよ!繰り替えす、異常な生体反応確認―」
鳴り響く警報音とアナウンス。招集されて続々とカナチを囲うように集まる機械兵。
機械兵の銃口が一斉にこちらを向いたが、カナチは微動だにせず、冷静沈着だった。
やがて敵兵のうち一体が引き金を引く。同じくして機械兵の間にも閃光が走る。
「雷光閃!!」まるで撃ったのは残像だと言わんばかりに勢いよく銃を斬り裂く。
そしてカナチはまるでレーザー光の如く駆け回り、囲んでいた敵兵をあっという間に破壊した。
(増援が来る前に一気に奥に行きたいところだな…)カナチはまた静かに上層を目指して走り出した。

一方司令室では、"A.C."がモニターを見つめて作戦を練っていた。
「親方、第3層に侵入者が出たようですが、如何しましょうか?」
「ネズミが一匹入り込んだか… まぁいい、"コピーの部屋"に誘導しろ。」
「了解しました、シャッターを閉めて誘導させます。」そう言って機械兵が端末をいじると、シャッターが次々と閉まっていった。
「誰が破ったんか分からんが、ようアレを突破したな。とりあえずは消耗させるのが優先やな。」
そう言って"A.C."は司令室から去った。

カナチは次々と閉まるシャッターに本来のルートを阻まれていた。しかし道は残されているので奥へ奥へと進む。
道中、敵の妨害もあったが、カナチにとっては大した事でなく、ただ突き進んで行った。
しばらく進むと大きく開けた部屋に出た。部屋には転送装置と思われし物が4つ置かれていた。
カナチが入ると部屋のシャッターがロックされた。「閉じ込められたか!?」
部屋にはもう1つシャッターがあったが、こちらもロックされていた。
電子ロックのようなのでドングルを使ってみたが、開きはしなかった。
「多分転送装置の先にこの部屋の鍵があるンマね。」「攻略しろと言わんばかりに置いてるから逆に怪しいが…」
カナチが転送装置に乗る。「他に手段は無さそうだな。」そう言って転送装置のスイッチを入れた。

カナチが転送された先は広めの部屋だった。扉も無く、他にあるのは帰りに使うであろう転送装置と生気を感じられない人影だけだった。
しかしその人影はどこかで見たような物だった。やがて逆光が収まり、その正体を表すと皆が驚愕した。
「あれは… 私!?」通信機の向こうで一七実が反応する。
「私はドッペルゲンガーを見てるのかしら…?」「多分アレは精密に作られたアンドロイドだと思うンマ。」
七実のコピーは静かに顔を上げ、こちらを認識する。その眼は紅く輝いていた。
「そうか、ロボットなら遠慮なく斬らせてもらう。」カナチが剣を構えると、相手も瞬時にアーマーを展開した。
「Enemy Encountering…」十七実のコピーは抑揚の無い機械音声を発する。
次の瞬間、相手はいきなりフライングインパクトで突っ込んでくる。
軌道が単純なので簡単に避ける事が出来たが、不意打ちにカナチは驚いた。
そのまま十七実のコピーは間髪入れずに銃口をこちらに向ける。
「"Reset Bomb" Ready…」機械音声が不気味さを一層引き立てる。銃口に何かが装填される様が見える。
「Launch!!」十七実のコピーがそう発すると、巨大なフォレストボムが放たれた。
しかしカナチもそう簡単にやられる訳にはいかない。
「ならば!」カナチは手際よくバスターにエレメント・ヒートをセットする。「フレイムアロー!!」
放たれた炎の矢は植物塊である敵弾を焼き尽くす。矢は弾を貫通し、十七実のコピーのアーマーを焼く。
焼かれたと共に、強烈なノイズ音を出す十七実のコピー。「どうやら弱点と言ったところか。」
しかし相手もこれで引くような相手でなく、すぐさま体制を立て直し、攻撃態勢に戻す。
両腕の翼のような刃を展開し、斧のように振り回す。カナチは咄嗟にセイバーで受ける。
鉛のように重たい一撃はカナチでもいなすのが精一杯だった。状況はカナチが不利になってきている。
だが、カナチもただ押されているわけでもなく、相手の癖を探っていた。
どうやら相手は隙を無くそうとして両手を別々のタイミングで振り下ろしているようだが、両手を振り下ろした後、振り上げるのに僅かに隙が存在する。
カナチはその隙を見逃さなかった。相手の連撃の僅かな隙に一気に攻め込む。
斬撃は相手のアーマーを斬り裂く。アーマーの下からは基盤が垣間見えた。
カナチは敵が機械である事を確信し、再び攻めの構えを取る。
相手も高く飛び上がり、割木斬でカナチを斬り落とそうとする。
カナチも昇炎斬を放ち、迎撃する。
セイバーから炎が消えた時、空間は静寂に包まれた。双方が微動だにしなかった。
七実のコピーは膝から崩れ落ちる。コア部からカードが浮き出る。
「…これが鍵のようだな。」カナチはカードを手にし、その場を去った。

再び転送されて元の場所に戻されたカナチは早速扉を開けようと試みる。
しかし扉は開かなかった。だが、扉に付いていた発光体の色が1つ変わった。
発光体の数は全部で4つ。つまり4つの鍵を全て手に入れなければ先へ進めない仕掛けだ。
「どうやらこれはただの飾りじゃなさそうだな。」「まるでカナチを試しているかのようンマね…」
そして再びカナチは転送機に乗り、スイッチを入れた。

転送された先はどこか見覚えのある場所だった。屋根の無い開けた空間にそびえ立つビルの数々…
カナチは宇宙に居る事を忘れたかのようだった。そこに一筋の閃光と共に何かが現れた。
「…どうやら次の相手はお前のようだな。」そこには電によく似せられたアンドロイドが立っていた。
「Battle mode Active…」抑揚の無い機械音声で起動メッセージを発言する。
相手がアーマーを展開すると同時に電気を纏い、青白い光を帯びる。
Lightning Bolt,Charging…」不気味な音声と共に両腕の武器に電力が蓄えられていく。
カナチは斬りかかろうとしたが、先に充電が終わってしまった。
相手が武器を天に向けると、強烈な閃光を放ち、放電する。
「クソッ…!!」閃光に目をやられるカナチ。
「Fire!!」カナチの目がようやく見えるようになったと思えば、カナチに向けて雷が落ちる。
カナチがアーマーの機能で無理やり避けたかと思えば、次から次へとまた雷を落としてくる。
数発ほど落としてようやく止んだかと思えば、次は雷光閃で一気に距離を詰めてきた。
カナチは無理やり弾いたが、オーラのように纏っていた電気で感電してしまう。
アーマーのおかげで立っている事は出来たが、思うように身体が動かない。
電は振り返って両腕の武器を再び構える。「Buster Mode,Active…」機械音声は不気味に呟く。
両腕の武器から刃が消え去り、銃口部に電気が蓄えられ、青白く輝く。
カナチも痺れた身体を無理やり動かし、バスターを構える。
「やられっぱなしで… いられるか!!」すかさずバスターを連射する。
しかし電のコピーは微動だにせず、弾丸を放つ。青白く輝く電気の弾丸は正確にカナチを狙って飛んでくる。
カナチはアーマーの機能に物を言わせて無理やり回避する。ようやく痺れが落ち着いてきたが、まだ満足に動ける状態でない。
再びバスターを構えるカナチ。「ならば…!」バスターにエレメント・ウッドをセットする。
電のコピーは再び弾丸を放つ。それに合わせてカナチもフォレストボムを放つ。「貫けぇ!!」
放たれたフォレストボムは炸裂し、相手の弾丸を喰らうように広がり、お互いの弾丸は相殺して消えた。
電のコピーは再びライトニングボルトを放とうと、電気を再び溜めだす。所々から漏れる電気がカナチの肌を刺激する。
ならばと、カナチは壁を蹴り、宙に浮く。カナチはセイバーに大地の力を込め、一気に突き出す。
「喰らえ!割木斬!!」全体重をかけた下突きは、電のコピーに大ダメージを与える。
破損した銃身からは所々電気が弾ける音がした。しかし電のコピーは一向に引こうとせず、次の攻撃準備に移る。
「Blade Mode,Active…」再び両腕の武器に刃が出現し、カナチを貫かんとする。
ようやく痺れが収まったカナチは、相手を翻弄するかのように裏を取る。
「コイツを叩き斬れば…!!」カナチは裏にあるコイルを狙ってセイバーを振り下ろす。
しかし相手もそれを防ぐかのように、カナチの左腕を狙って突き刺そうとしてくる。
カナチは咄嗟にセイバーの軌道を反らし、敵の攻撃を弾いた。状況は再びイーブンに戻った。
お互い睨み合いが続く中、先に動いたのはカナチ。今度は武器を斬ろうと先に突っ込む。
「ならば先にコイツを!!」セイバーの軌跡は相手の武器目掛けて描かれる。
しかし電のコピーもそれを見切っていたのか、跳んで回避する。
「…想定通り!」なんとカナチは相手が回避する前提で斬りかかっていた。
カナチは後隙を打ち消すかのように、そのまま勢いを殺さずに、セイバーに炎を纏わせる。
「昇炎斬!!」燃え盛る炎の剣は相手の右腕の武器を斬り落とす。切り口からは剥き出しの電線から火花が漏れる。
大量の電気が漏電したからか、相手の動きも鈍くなる。
(今ならいける!)そう確信したカナチは再び裏を取る。電のコピーも反応したが、漏電の影響か、途中で止まってしまった。
相手の背中のコイルをぶった斬るカナチ。大量の電気が蓄えられていたからか、爆発を起こして機能停止した。
カナチが電のコピーに近づくと、コア部からまた1枚のカードが浮き出た。
カードを手にしたカナチは火花散る残骸を残してその場を去った。

また元の場所に転送されたカナチは再びドアにカードをかざす。予想通り、発光体のうちの1つの色が変わった。
「あと2つか…」「ここが折り返し地点ンマ!あともうちょっとンマよ!」けんまはカナチを励ます。
カナチは敵が居ないのをいい事に、少し休憩してからまた転送された。

―所変わって綜司令室では機械兵たちが慌てていた。「親方さま、例の人物は我々の罠を突破しているようですが…」
「そうか、なら"アレ"の準備をしてほしいんや。」「了承しました。それではここに持ってきます。」
(破られるのは想定してたといえ、あのペースで突破されるんは想定外やな… 間に合うか?)
"A.C."モニターを見つめながら、静かに次の一手を探る。

カナチが転送された先には巨大な水槽が設置されていた。眼前の水槽は深く、潜るのが申し訳ないくらい澄んだ水で満たされていた。
マスクを付け、いざ水中に潜ると、予想通り1体のアンドロイドが待ち構えていた。
人の姿をしているが、呼吸で生じる泡が一切出ていなかった。相手は何も発さず槍を構える。
お互い無言の空間に緊張が張り詰める。AIがどう認識しているのかは不明だが、カナチは無言の圧力を感じていた。
しかしその緊張も長くは続かない。先に動き出したのはカナチ。水の抵抗で動き辛い中、素早く相手に近寄る。
だがここは相手が本領発揮する水中。座間子のコピーはあの時と同じく、優雅に回避する。
そして宙を舞うように氷を残しながら泳いでいく。氷は不規則に揺れながらゆっくりと落ちてくる。
カナチはセイバーで叩き割るも、水の抵抗に力を奪われ座間子のコピーまで辿り着く事が出来ない。
相手の表情は一切変わってないのだが、カナチには不敵に微笑むように見えた。
水はカナチの身体に纏わりつくように力を奪い、カナチを苦しめる。
座間子のコピーは苦しんでいるカナチの前に降り立ち、手にした槍に強烈な冷気を纏わせる。
カナチは絶体絶命の危機に立たされるも、一か八か、バスターにエレメント・エレキをセットする。
水中で電撃弾を放つとどうなるか分からないが、それでも賭けるしか無かった。
カナチは感電覚悟でバスターを構える。銃口は電撃を放つ用意をする。
相手の持っている槍から氷竜が放たれる。カナチはそれを撃ち抜くようにバスターを放つ。
感電すると思っていたカナチだが、不思議な事に放たれた電撃弾は漏電する事なく相手の方へ向かった。
放たれた弾丸は氷竜を撃ち抜き、座間子のコピーに当たる。強烈なノイズがヘルム越しに聞こえる。
何とも言い表せないその音は、機械ながらも苦しんでいるようにも聞こえた。
しかしここで同情する訳にもいかず、カナチはさらなる追撃のためにも動き出す。
倒さねば先に進めないのは分かっている。カナチの中で一瞬葛藤が生じたが、相手は機械なのだと改めて認識させて打ち消した。
セイバーを握る手に力が籠もる。剣は座間子のコピーを貫くかのように軌跡を残す。
しかし相手はこれでもまだ動けるらしく、再び槍に冷気を纏わせる。
先程よりも早く冷気を装填する為に、周囲の水が凍りつくほどの冷気を槍が放つ。
カナチもこれに対抗すべく、再び剣を構える。セイバーは放電準備をし、その刀身に電撃を灯そうとしていた。
相手はカナチ目掛けて氷竜を放つ。カナチもそれを打ち破るように雷光閃を放つ。
お互いが動かなくなり、しばらく静寂の空間が訪れた。双方が止まっている中、座間子のコピーは凄まじいノイズ音を放つ。
数秒程経って、ノイズが止んだ。座間子のコピーは力を失い、ゆっくりと崩れ落ちる。
胸のコアからゆっくりとまた1枚のカードが出てくる。カナチはそれを手にして早々と部屋から出ていった。

戻ってきたカナチだが、その息遣いは荒かった。「カナチ… 大丈夫ンマ?少し休んだほうが…」
「休みたいのはやまやまだが、ここで立ち止まる訳には…」カナチは扉に向かおうとしたが、身体が言うことを聞かない。
常人だと生存の危機に瀕するほどの疲労を負いながらも、扉に向かって歩こうとするカナチ。
扉に向かう途中でついに倒れ込んでしまうカナチ。「クソッ…!!」声を出す余力も無いのか、誰にも聞こえないような声だった。
「カナチ、効くか分かんないけどコレ使ってみるンマ?」けんまは転送機を使い、カナチに1本のドリンクを送る。
ラベルの無い褐色瓶には無色透明の液体が入っていた。「それ、本来医者が数字見ながら使う物ンマが…」
瓶の蓋を開けると独特の臭いがしていた。カナチは覚悟を決めて一気に飲み干す。
「そ、そんな一気に飲んじゃ…!!」「…何も無いよりマシだろ。」
しかし数分ほどしてカナチの身体に異変が起こる。「何だコレ… 身体中が痛い…!」
「副作用も聞かずに飲むから… 大丈夫ンマ?」しばらくカナチは苦痛に耐えていた。
しかし30分もすると、自然と痛みが収まってきた。痛みが引くと、カナチは再び動けるようになっていた。
「あの副作用に耐えたンマ…!? 本来劇薬のはずンマよ!?」「でも結構効いたみたいだな。さっきまでの疲れが嘘みたいだ。」
「カナチの身体、どうなってるンマ…」カナチは扉にカードを通す。残るところあと1つの鍵を通せば開くはずだ。
そしてカナチは再び転送された。

転送された先は火の粉が舞う空間だった。どこかから焦げた臭いもし、六実と戦ったあの場所を思い出した。
「…やはりお前が相手か。」炎を掻い潜るように現れたのは六実の姿をしたアンドロイドだった。
六実のコピーは何も言わずに両手に炎を纏わせ、弓を形作る。
「Ready…」六実のコピーは静かに呟くと、高速で炎の矢を乱射してきた。
飛び交う弾幕の中、カナチは一つ一つ着実に避け、懐に飛び込む。
斬りかかろうとしたカナチだが、相手もこの行動は想定内であり、直ぐ様両手の弓で斬り上げて反撃する。
カナチは構えを見切り、飛び退いたが、相手の後隙に喰らいつくように再び飛び込む。
六実のコピーも飛び退きながら矢を連発し、お互い読み合いが続く。
ならばと、カナチは素早くバスターにエレメント・アクアをセットし、アイスジャベリンを放つ。
放たれた氷槍は六実のコピーが放った炎の矢をかき消しながら突き進む。カナチは氷槍に続くように懐に潜り込む。
氷槍は六実のコピーに宿る両手の炎を消し飛ばし、凍てつかせる。カナチもそれに続くように追撃をする。
水月斬!」セイバーは三日月の如き水の軌跡を残し、敵を斬り裂く。
斬られると同時に強烈な電磁波を放ったのか、通信機から異常なノイズが鳴る。
しかし相手もまだやれると言わんばかりに再び両手に炎を灯す。灯された炎は勢いを増し、身体を包むかのように燃え上がる。
六実のコピーは片手に荒れ狂う炎の弓を、もう片手には一筋の光と化した炎の矢を構える。
カナチは水月斬で炎の弓を叩き斬ろうとしたが、相手が矢を放つほうが早かった。
放たれた矢は空中で炎の柱となり、カナチ目掛けて降り注ぐ。「間に合うか!?」カナチは全速力でその場から逃げ出す。
炎の柱は一面を焦土にせんとばかりに燃え上がる。
燃え上がる炎を静かに見つめる六実のコピー。その目には意思という物を感じさせなかった。
しかしその炎の柱を大穴を穿つとともに貫いてきた物があった。アイスジャベリンだ。
カナチは大穴をくぐるように再び懐に飛び込む。カナチの持つセイバーには水の刃が形成されていた。
相手も炎の剣と化した弓で防ごうとするも、水の刃の前では無力だった。炎は音を立てて消える。
斬撃の軌道はコアを逸れるも、相手に大きな痛手を与える。飛び散った水が一気に蒸発して辺りは一瞬蒸し暑くなる。
カナチは更に追撃しようとしたが、相手は火花を散らせながらも無理やり回避する。
しかし相手も相当無茶をしているのか、動きが鈍くなる。関節部にダメージが相当入ってるのか、時折姿勢を崩す。
カナチはその隙を見逃さず、姿勢を崩した瞬間にセイバーをコアに突き刺す。
六実のコピーはノイズすら立てずに静かに崩れ落ちる。そして再び立ち上がる事は無かった。
そして貫かれたコア部分からは、オイルで汚れたカードが出てきた。カナチはカードを手にし、その場から去った。

4枚のカードを手にし、戻ってきたカナチは再びあの扉の前に立つ。
「いよいよこの扉が開く時だな。」「何があるか分からないンマ、何かあったらすぐに逃げるンマよ。」
カナチは4枚目のカードを通す。すると4つの光の色が全て変わり、ゆっくりと扉が開いていく。
静寂の中、カナチは先に進む。行く手にはトラップこそあれど、敵が一切居ないのが逆に不思議だった。

所変わって綜司令室では、総員が戦闘用意をしていた。「親方様、ついに突破されたようですが、如何しましょうか?」
「せやな… アンタらは全員奇襲の用意はしといて。1箇所にはくれぐれも固まらんようにな。」
「了解しました、親方様。」そう言って戦闘準備の出来た機械兵達はその場を去っていった。
(ウチも出なアカンようやな…)"A.C."は自分用のアーマーを展開し、感覚を確かめていた。

奥に進むにつれ、仕掛けが過激になっていった。だがそんな物など横目にカナチは次々と進む。
電撃トラップが仕掛けられた空間を次々とリフトを乗り継いで行き、棘だらけの空間を一気に登っていく。
そして長い通路を通り抜け、ようやく大扉が見えた。
「…ようやく最後の扉のようだな。」「覚悟を決めたら入るンマよ。」扉からは得体の知れない威圧感が漂っていた。
カナチが大扉を開け、中に入ると誰かが玉座に座っていた。「やっと来たな、待ちくたびれたで。」声の主は一人の少女だった。
「お前が"A.C."か。」「ご明答。ウチが"A.C."や。」通信機越しに皆が騒然とする。相手は男性だと思ってただけに余計騒然とした。
「ソッチから来てくれるとは、ウチも探す手間が省けたんや。どうや、ウチの部下にならんか?」
「…散々問題起こしてる集団に入るのは御免だ。」「そうか、ならば力尽くでもやるしか無さそうやな…」
"A.C."は玉座から降りる。「ウチを舐めたら… アカンで!!」
"A.C."は刺さっていた杖のような物を抜いたかと思えば、一瞬でアーマーを展開した。
"A.C."は静かに浮き上がり、持っていた杖のような物にエネルギーを纏わせる。
「ウチのハンマー、喰らうと痛いで?」そう言うと"A.C."は姿勢を変え、一気に突っ込んできた。
カナチは飛び退いて避けたが、ハンマーに叩かれた場所は焦げ付いていた。
「コレで終わりやと思わんといてな!」"A.C."がハンマーを振り上げると、炎の柱が発生した。
炎の柱は絨毯を焼きながらこちらへと迫る。しかしカナチは六実のコピーとの戦いを冷静に振り返る。
「そんな物通用するか!!」放たれたアイスジャベリンは炎の柱に風穴を開ける。カナチは開いた穴を通り抜ける。
放たれた氷槍は手にしたハンマーで弾かれたが、貫いた炎の柱は跡形もなく消えた。
「アンタの判断力も中々やな。ますます欲しくなったわ。」「言っただろ、お前の下に行く気は無いと。」
「そうか、ならこれはどないや?」"A.C."はハンマーを振り上げる。すると隠れていた機械兵が一斉にカナチを襲おうと飛び出す。
あっという間にカナチを取り囲むように陣形を組み、一斉に武器を構える。
「この軍勢を前にしてまだ抵抗するか?」"A.C."はすぐにでも攻撃命令を下せるように構える。
「クソっ…」流石のカナチでも、この量には対抗出来ない。

"A.C."がハンマーを振り下ろした瞬間、見覚えのある影が横切った。ふと後ろを向くと、機械兵が纏めて斬られていた。
「お前は…!!」「間に合ったようだな。」カナチの前には山岡が立っていた。
「脱走者のお出ましか。」「俺はお前に囚われたつもりなど最初から無いぞ。」山岡は剣を鞘に収め、カナチの方へ振り向く。
「この勝負、俺とお前、どっちが"A.C."の相手してもいい。お前はどうする?」
「それならオレが"A.C."の相手をする。山岡は引き続き雑魚の処理を頼んだ。」「了解!」
山岡は再び剣を抜き、機械兵の群れへと突っ込んで行った。

「これでお互いに"邪魔者"は居なくなったな。」「アイツが乱入してくるとは想定外だったがまぁええやろ。」
双方武器を構え睨み合いが続く。お互いの硬直を破り、先に動いたのは"A.C."だった。
「ほなこっちから先に生かせてもらうで!」手にしたハンマーをひょいと振ると、次々に電撃が走る。
天井から床に向けて走る電撃は、じわじわとカナチのほうに向かう。
だがカナチは動ずる事もなく、電撃の合間を縫って"A.C."の懐に潜り込む。
カナチはセイバーで斬りかかろうとしたが、"A.C."もハンマーを使って抵抗する。
「見えたで!」ハンマーで弾き飛ばされるも、受け身を取り体制を持ち直すカナチ。
"A.C."がハンマーを地面に突き刺すと、カナチを取り囲むように大木のような物が急に生えてきた。
ハンマーを振り上げ、追撃を加えようとしたが、突如として大木に炎が周り、包囲が解かれる。
カナチが手にしていたセイバーには炎がまだ微かに残っていた。「この程度でオレを止められると思うな。」
「流石やな、でもコレは避けられないやろ!」"A.C."はハンマーをロケットランチャーの如く担ぐ。
ハンマーが纏ったエネルギーは青白く輝いたかと思えば、細かい氷塊が次々と撃ち出される。
氷塊は弧を描きながらカナチの方へ迫る。後ろへ下がるも、氷塊は弾道を変えて再び迫る。
しかしカナチもただ避けてる訳ではなく、次の一手の準備を整えていた。氷塊がおおよそ一直線上に並んだ時、カナチは一気に攻める。
青白い閃光の通った場所にあった氷塊は粉々に粉砕され、"A.C."に肉薄するようにセイバーの刃が突き立てられていた。
「そう来たか。」「まさかそうやって雷光閃を防ぐとは思わなかったな。」電撃を纏ったセイバーはハンマーの柄で防がれていた。
お互いがお互いの武器を弾き、戦局は再び振り出しに戻る。"A.C."は再び攻撃しようと、ハンマーに橙色のエネルギーを纏わせる。
ここでカナチはある事を思い出す。纏う光の色で攻撃が分かる相手がふと脳裏をよぎった。カラコロスだ。
"A.C."がハンマーに纏わせたエネルギーの色は橙色、これがカラコロスの時と同じならば次は炎属性の攻撃が来る。
纏わせたエネルギーが炎に変わり、カナチに襲いかかる。カナチは読み通りの攻撃が来たので、即座に水月斬の構えを取る。
形成された水の刃は炎を火の粉すら残さず斬り裂く。だが相手は炎を放つと同時にまた別の攻撃準備を済ませていた。
灯された光の色は翠玉色、カラコロスの時の記憶が正しければ、木属性の攻撃の予告だ。
"A.C."はハンマーを再びランチャーのように構え、そのままエネルギー弾として放つ。
放たれた弾丸は見る見る間に実体を持ち、まるで硬化した蔦のように変化していく。
そしてカナチの眼前で炸裂し、カナチを取り囲むように蔦が広がる。だがカナチも屈さず、直ぐ様フレイムアローを放つ。
カナチを取り囲むように展開された蔦は、穴を徐々に広げていくように燃える。貫いた炎の矢は"A.C."の頬を掠めるように飛んでいく。
「…流石ここまで来れるだけあるな。褒めたるわ。」「お前と戦っていたらカラコロスを思い出してな。」
「あぁ、あの無能変態ドルオタ短小産廃野郎か。」(酷い言われようンマ…)カラコロスの酷い言われようにけんまは突っ込まざるを得なかった。
「アイツは適当に偽の報酬見せたらまんまと引っかかったから扱いが楽やったな。」「お前にとってはアイツも捨て駒と。」
「せや。ただアイツの能力は本物やったな。」「真似してるなら道理で似てる訳か。」「ただ…」"A.C."はハンマーを大きく振りかぶる。
「あの無能と同じだと思わんといてな!!」"A.C."はハンマーに纏わせたエネルギーを推力に変換させ、高速で迫ってくる。
カナチは咄嗟にセイバーを構えるも、重い一撃の軌道を逸らす事しか出来なかった。
「中々の反応速度やな。」"A.C."は再びハンマーにエネルギーを集中させる。「だが次はそうもいかんで!!」
ハンマーに蓄えられた紫色の光球が打ち上げられたかと思えば、空中で分裂し、カナチに襲いかかる。
分裂した光球は速度を増して飛んでくる。カナチはバスターで相殺しようとしたが、数が多すぎて数発しか相殺出来なかった。
残ったうちの数発はセイバーで弾けたが、残った分がカナチに当たってしまう。「ガァっ…!!」
どの属性も帯びてない光球は純粋なダメージをカナチに与えた。「所詮はそんなモンやろ、おとなしくすればこれ以上はやらんで?」
「この程度で… 退く訳ないだろ…!」ふらつきながらも再び立ち上がるカナチ。「まだ立ち上がる根性があるんか。」
"A.C."は再びハンマーを掲げる。その先端ある光球は琥珀色を放っていた。「もうこれは避けられんやろ!!」
ハンマーを地面に突き刺すと、再び無数の雷がカナチを襲う。落雷は徐々にカナチの方へと迫り、被弾を覚悟した次の瞬間だった。
何者かがカナチを横へ突き飛ばした。「ぐぁっ…!!」カナチは目を疑った。山岡がカナチの代わりとなり落雷を受けていた。
「カナチ…! 早く立て!」「山岡…!」カナチは再びセイバーを手にし立ち上がる。「ここに来てお仲間ごっこか?」
「…その手の挑発には乗らんぞ。」「ほう…」「だが…」カナチはセイバーを強く握り、大きく飛び上がる。
「一発斬らせろ!幻夢零!!」放たれた斬撃は床を割りながら進む。「そんな物… 通用せんわ!!」"A.C."は再び紫色の光球を放つ。
双方の攻撃がお互いの中央でぶつかる。衝撃波が発生する程の威力でぶつかり合う。「お前の攻撃なんぞ…」
"A.C."が余裕を見せようとした時、光球が斬撃で真っ二つに斬られた。その様子を見た"A.C."は青ざめ、急いで回避体制を取る。
斬撃はそのまま真っすぐ進み、玉座を切り裂いたところでエネルギーを使い果たしたのか、そこで消滅した。
「何や今の…」「オレがお前より劣っているとは思わないでほしいな。」カナチは再びセイバーを構える。
「オレの信念としてある物を言おう。」"A.C."も体制を戻し、再びハンマーを構える。
「この剣において、私は負けない。」そうカナチが言うと、再び"A.C."の胸元に飛び込むように斬りかかる。
"A.C."は飛び上がって回避したが、カナチもそれに喰らいつくように追いかける。"A.C."は氷塊を再び放とうとする。
「させるか!!」カナチは大きく振りかぶり、渾身の一撃を放つ。

遂に斬撃は"A.C."のコア部に届いた。"A.C."は意識を失ったのか、ゆっくりと下に落ちていった。
「終わったンマか…?」地に落ちた"A.C."のアーマーはコアが破壊され維持出来なくなったのか、粒子になるように消滅した。
「山岡、お前大丈夫か?」「へっ… あの程度でくたばるかよ。」「立てるか?」「あぁ。」山岡はカナチの助けを得て再び立ち上がる。
「さて、どうやって帰ろうか…」カナチが"A.C."を抱えたその時、崩れ落ちた玉座の陰から何者かが出てくる。
「ジムッwwwwジムッwwwwよくもやってくれたジムねぇ…」そこには褌一丁のおおよそ人間とは思えない男が立っていた。
突如現れた乱入者に驚く二人。「うへぇ。なにあの人。…ヘンタイさん?」通信機越しに見ていた拠点も騒然とする。
「お前は何者だ!!」力強く問う山岡。「そんなの今答える必要無いジムよ。」
そう言うと、彼は眉毛を怪しく光らせ始めた。「お返しジムよ!!」「頭が…!!!」「クソっ…!!」
二人は謎の頭痛に襲われ、しゃがみ込んでしまう。「お前らも俺の手下になるジムよ!!」二人は表現出来ないような声で苦しむ。
彼が謎の力を最大限に強めようとしたその時、後ろから何かが飛んできた。

「サウザンドエッジ!!」無数のナイフが彼に向かって飛んでいった。彼はカナチらに掛けていた力を一度解放し、バリアを張る。
「俺の力を受け付けないとは… 何者ジムか!!」奥から走ってきたのはアーマーすら着込んでいない一人の少女だった。
「あら、私の事? そうね… "千刃剣魔"とでも名乗っておきましょうか?」「許せないジム!即座に―」
「うるせぇぞ… さっきはよくも!!行くぞ山岡!」「おう!!」そう言って二人は大技の用意をする。
「何をしようとこっちには通用しないジム!」そう言って再びバリアを展開したが、それも束の間。
「ぶった斬れ!幻夢零!!」迫る斬撃は容易にバリアを斬り裂く。「今だ山岡!」山岡は着ていたマントを彼に被せる。
「喰らえ!一撃必殺・アスパイアブレイク!!」山岡の剣はマントごと彼を真っ二つにした。
直後、マントは血まみれになったが、山岡はそれをめくろうとしなかった。
「…もう終わりか、根性無しめ。」山岡はぶった斬られた彼にそう言うと、彼の残骸を蹴飛ばした。

「さて、これからどうしようか…」カナチがけんまに相談しようとした瞬間、衛星が大きく揺れだす。
突如鳴り響く警報音。「たっ…大変ンマ!!衛星がこのままだと墜落するンマ!!」「どういう事だ!?」
「恐らく奴が死ぬ間際に墜落させる軌道に載せるようにしたんだろう。」「私の計算が正しければ5分くらいがタイムリミットかしら…」
「5分!?全員帰れるのかよ!?」「ここの転送装置だと多分二人が限界ンマ…」「カナチ、どうするか…」
「山岡、お前は"A.C."を連れて先に帰れ。」「先に帰れって、お前はどうするんだよ!!」
「オレは… こっちで何とかする。」「何とかって…お前!!」「けんま、先にこの二人を転送してくれ。」
「…本当にいいンマか?」「…あぁ。」「分かったンマ。」そう言ってけんまは山岡ら二人を転送した。
「困ったな… で、どうするんだ?お前は帰る方法を知ってるのか?」「一応あるにはあるみたいよ。」
「そうか… あるのか!?」「えぇ、この衛星の最下層に転送装置があるみたいなの。それなら多分行けるかと…」
「そうか、ならそれに賭けるしかないな。」そう言って二人は崩壊し始めた玉座の間から出ていった。
衛星は逃げたカナチの後を追うように崩壊していく。「早く逃げろ!このままだと飲まれるぞ!!」
ひたすら来た道を逆走する二人。どこまで走っても鳴り響く警報音は消えない。
罠が大量に仕掛けられた通路を通り抜け、閉じ込められたあの部屋を通り過ぎる。
ふと窓の外を見ると、衛生が炎を帯び始めていた。「間に合うか…!?」だがここで足を止めている場合ではない。
二人は無我夢中に最下層を目指し走り続ける。足を止めたら宇宙空間に放り出されるのだ。
後ろの方では玉座が崩壊し、宇宙空間に残骸が散らばりだしていた。その一つ一つが炎を帯び、流星群に変わろうとしていた。
しばらく走り続け、ようやく転送された場所まで辿り着いた。「ここでいいのか!?」「いえ、もっと奥にあるわ!」
「畜生、まだ先か…!!」二人は崩れ落ちる衛星の奥へ奥へと進む。

そして辿り着いた最下層、二人は巨大な転送装置を目の当たりにした。
「恐らくこれの出力だと地上まで帰れるわ!」「でもこれロックされてるんじゃ…」「そんなのはどうにでもなるわ!」
千刃剣魔はひたすらキーボードを叩き続ける。再び大きく揺れる衛星。「カナチさん、早く乗って!もう少しでどうにかなるわ!」
「でもお前は…」「大丈夫、私も戻るから。」千刃剣魔はカナチを強引に転送装置に乗せると即座に転送装置を起動した。
カナチは千刃剣魔に何か言いかけたようだが、崩落音で聞き取れなかった。
「任務完了しました、後は最終処理をお願いします、マスター。」千刃剣魔がそう言うと、彼女は崩落した瓦礫に巻き込まれていった。

気がつくとカナチは拠点に戻っていた。「おかえりンマ!」「ちゃんと帰ってきてくれたの、嬉しいのです!」「今夜はお祝いだね!」
皆がカナチの帰還を祝福した。だがカナチには一つ心残りがあった。あの後千刃剣魔は戻れたのだろうか、カナチはずっと気になっていた。
彼女との通信はロストしたままとなっており、生死が未だに分からなかった。少なくとも生き延びていればいいのだがという思いがずっと巡っていた。
そうしてカナチはしばらく複雑な思いを抱えていた。数日経っても千刃剣魔との通信は確立せず、死亡説すら出始めた。
だがそんなある時、拠点に訪問者が現れた。

「あの時以来ですね、カナチさん。」「千刃剣魔…?」「その反応は死んだと思ってたでしょ?」
「当然だろ、あの後通信ロストしたからな。でもどうしてここに…?」「座間子ちゃんの端末情報から調べたのよ。」
二人が軒先で話していると、座間子がやって来た。「千刃剣魔さん、その"身体"は…」
「いいでしょ。マスターに"創って"もらったのよ。」「え…?今"創って"もらったって…」
「あら、気づかなかったの?私は"ヒューマノイド人型ロボット"なのよ。」千刃剣魔の真実を聞いて驚くカナチ。
「それじゃあ、あの時の"身体"は…?」「あの"身体"は衛星と共に焼けたわ。今の"身体"は2代目よ。」
「なら中身はあの時と別物か?」「ううん、違うわ。中身は崩壊する直前の物と一緒よ。」
「何かこんがらがってくるな… そういや前の"身体"への未練は無いのか?」
「ロボットにそんな事訊くって野暮ね。そんな物なんて無いわ。それに今の"身体"のほうが高性能だし。」
「あの人の事だから前の"身体"は間に合わせでしょ?」「まぁそんなところね。ところで中に入れてくれるかしら?」「あ、あぁ…」
そうして皆は思い思いに話をしていて気づくと夜になっていた。
「もうこんな時間ンマ… ちょっと話し過ぎたンマね。」「いいんじゃない?こうやって平和が訪れるのも久々だし。」
「そうだな。俺もようやく本業に戻れそうだな。」「そういや山岡さんの本業って?」「一応弁護士だぞ。」
そう言って山岡は以前着ていたスーツを鞄から出した。その胸部には弁護士バッジが輝いていた。
「俺はこの騒動が一段落したら本業に戻る予定だ。お前らはどうするんだ?」「私は元居たところに帰ります。」
「電もそうしたいのです。カナチお姉ちゃんはどうするのですか?」「オレは… 以前何をしてたか思い出せてないからそこからだな。」
「記憶障害ってのも問題だな。あの先生が生きてたら紹介したいが何せあれから50年経ってるからな…」
「何か知ってるンマ?」「いや、前に脳外科医から仕事来たんだけどな。」「そういう事ンマね。」
「以前どこに住んでたか覚えてないけど流石にこのままけんまの世話になり続けるのも…」「その辺は大丈夫ンマよ。」
「けんまちゃんは凄いのです!」「本当にいいのか…?」「けんまもカナチが前に何やってたか気になるンマ。」
「それで問題無いならいいけど…」「ではそろそろ私達は帰らせてもらいますね。」「おう、分かった。」
「日曜日にまた来るのです!」そうしてカナチとけんま以外はそれぞれ帰路についた。
残された二人は再び拠点に戻り、眠りについた。

そうして翌日からは再び平和な日々が取り戻された。
ニュースでは未だに今回の事を報道しているが、誰もカナチらが被害を防いだ事を知らない。
あの衛星は幸いにも海上に墜落したために被害は無かったものの、学者達は挙ってあの衛星に喰らいついていた。
他の皆も再び元の生活に戻っていった。だが今回の一連の騒動は死ぬまで忘れる事は無いだろう。

The Sealed Swordman "K" 終わり

おまけ1 -安堵-

内容が内容なので隠す


今回の騒動が落ち着いてしばらく経ったある日の事、カナチとけんまはいつものように記憶の欠片を探していた。
だが、今日も一日探したが、過去の記憶は見つかりそうになかった。
「カナチ… 何か見つかったンマ?」「…全くだ。それらしい情報を見つけたが、どうも別人らしい。」
「流石に50年も経ってるとなかなか見つからないンマ…」カナチはパソコンから離れ、風呂へと向かった。
(全く… どこに行けばいいのか見当がつかないな…)カナチはシャワーを浴びながら、自分の事を考えていた。
文献を見ても曖昧な事しか書かれておらず、過去の自分が一向に分かりそうになかった。
浴室から出たカナチは未だに画面を凝視しているけんまを横目に床に就いた。

それから1時間半くらい経った頃であろうか、カナチは尿意を覚え目を覚ました。
カナチはトイレを済ませ戻ろうとすると、未だにけんまの部屋の明かりが点いている事に気づく。
気になったカナチがそっと覗き込んでみると、なんとけんまはカナチのパンツを嗅ぎながら自らの肉棒をしごいていた。
けんまはカナチが覗き込んでいる事に気づかず、己の欲望を満たそうとする。内心ちょっと引いたカナチだったが、意を決して不意打ちする事にした。
カナチは息をひそめ、音を立てないようにそっと近づく。そしてそっとしゃがみこみ、けんまの耳元で囁く。

「へぇ、けんまってこんな趣味あったんだ。」「ンマッ!?」けんまは抑え込んでいた白濁液をうっかりこぼしてしまう。
「ち…違うンマ…これは…」慌てふためいて必死に弁論しようとするけんま。しかしそそり立つ肉棒は未だ勢いを衰えさせない。
「…何となく気づいてたけどさ、お前オレのこと好きなんだろ?」そっとけんまの肉棒を手に取るカナチ。
カナチの手の中でけんまのソレは脈打っている。本心を見透かされたけんまは言葉を発する事が出来なかった。
「…その反応は図星か。まったく、けんまも男の子なんだな。」そう言うとカナチはけんまの肉棒を口にした。
「好きな娘にご奉仕される、それが男の夢なんだろ?」カナチが吸い付くと同時に声にならない声を出すけんま。
「んっ…んっ…」口の中でカナチの舌が絶妙に絡みつく。"初めて"の感覚にけんまは呑まれる。
普段味わった事の無い感覚がけんまの身体を支配していく。「ンマぁ…!!」同時にカナチも自分の身体に"準備"を施す。辺りに広がる"雄の匂い"。
「カナチ…!もう限界ンマ!」けんまは耐えきれずに出してしまう。思わず顔を赤らめるけんま。
カナチは"出された物"を音を立てて飲み込む。「なるほどねぇ、これが"雄の味"ってやつか。」
一発出したにも関わらず、"臨戦態勢"を解かないけんま。「さて…」纏っていた衣服を脱ぎだすカナチ。
「その様子だとまだいけそうだな。」カナチはけんまの上に跨る。けんまはカナチを見つめ、顔を赤らめる。

次の瞬間、カナチは機械に端子を入れるように、けんまを"接続"した。二人は声にならない声を上げる。双方共に"本番"は初めてだった。
カナチはゆっくりと腰を動かしだす。予想以上の快楽に、カナチが動く度に周囲が見えなくなっていくけんま。カナチもけんまの上で徐々に"女"になっていく。
普段の男勝りな性格はどこへ行ったのやら、今では喘ぎ声を上げ、本能が赴くがままに腰を振り、快楽に呑まれていく。
快楽の渦の中、二人は一体となっていくような感覚を覚える。もはや周りの事はどうでもよく、今はこの快楽を楽しむだけだ。
やがてけんまは限界に近づいている事を悟る。カナチも自分の感覚からけんまの限界が近い事を薄々と感じていた。
そして仕上げと言わんばかりにペースを上げるカナチ。けんまの身体から何か熱い物がこみ上げてくる。
「カナチ…!もう出るンマ!」「オレも…もう限界!」そして二人が息を合わせたかのように絶頂する。
双方言葉には出来ないような声を上げ、その余韻を味わう。

しばらく双方は何も発しなかったが、やがて静寂を破るようにけんまがカナチに話しかける。
「カナチ…大丈夫ンマ?」「…何ら問題は無い。」「こんな事言うのもアレなんだけど、僕で良かったンマ?」
「…お前じゃなきゃ今頃再起不能になってたぞ?」「怖い事言うのはやめてほしいンマ…」
「でもお前には色々助けてもらったからな。流石にアレはちょっと引いたけど、お前だから許したんだぞ。」

そんな事を話していた二人だったが、この後妊娠が発覚して大騒動になる事は、この時誰も知る事はなかった。

あとがき

Stage1

前に話してたムツゲーの制作に取り掛かる時間が未だに出来ないのでネタを忘れないためにも小説の形として一旦投稿
ネタもストレスも溜め過ぎはよくない(確信)
タイトルが強制変換されたのひで
カナチ出現後のBGMは見当付くと思う ロクゼロ版ゼロのテーマ

世界観解説
けんまの使っていた銃だが、実弾ではなく本家同様エネルギー弾
警備ロボの見た目は呪いの人形のソレがベース
けんまのZセイバーの件はどこからどう見ても岩本ロックマンXのソレ
https://vignette.wikia.nocookie.net/megaman/images/0/04/X3HornetZSaber.png
この世界でのカナチはオレ少女で服の下は原作と違って男女共に魅了する引き締まったアスリートのような筋肉で身長170cm強、体重70kg強のかなり健康的な身体
けんまは原作で言うところのシエルポジション ただしコピーエックス相当のキャラを作ってないなどシエルとは大きく違う点もある
大物ロボットは原作で言うところのゴーレムポジション デザインはまだ人形という事以外は考えてない
"立入禁止区域"の元ネタは忘却の研究所 カナチをどう封印してたかはまだ考えてない
タイトルのSealedは封印されたで英和引いたら出てきた*1

Stage2

前回に比べて3倍以上の文章量を持つ続編、カナチメインの話ですを
4ボス1体分の話を書くだけでこの量、一体完成する頃にはどのくらいの容量になってるのか…

あとがきというか世界観解説というか(Stage2)
「例え明日から不幸が訪れようとも、この剣で叩き斬るまでだ。」の元ネタはやはりロックマンゼロ4の「・・オレは、なやまない 目の前に テキが 現れたなら・・ たたききる・・までだ!」(バイル戦のやつ)が元
ステージのイメージはこんな感じのショッピングモール
http://ksn-consulting.com/wp/wp-content/uploads/2017/08/DubaiMall.jpg
BGMは流星のロックマン3の特設ステージのイメージで書いてる
ボス戦は流星2のボス戦のイメージ
座間子の言っていた"L"は"Leviathan"、つまりゼロシリーズの妖将レヴィアタンの事
スピリット・オブ・ジ・オーシャンとマリンスノーはレヴィアタンの技 アイスジャベリンはゼロ4のテック・クラーケン水月斬は流星1のバトルカードから
なお開幕EX技ぶっぱのもよう
洗脳装置の設定はアーマー(デザインラフ参照)との兼ね合いもあったから絶対に入れたかった

三次制作向けの余談
けんまはちょうど思春期真っ盛りの世代でカナチに対して何とも言えない感情を持っているもよう
けんま的にはカナチの"腹"が魅力的に思えるらしい。ただしそれ以上は作り手に全て委ねる
けんまが抱えてる感情が純粋な恋心なのか、もしくは憧れなのか、それとも―

Stage3

あとがきというか世界感解説というか
カナチ初直撃回
今回は全体的にロックマンZX感ある気がする
ステージBGMはロックマンエグゼ トランスミッションの火事のインターネット(だっけ?ファイアマンの曲)
後半は眠かったのかかなり雑な気がする
道中で座間子が乱入するのはプレイアブル化しようとしてるので
六実の烏座の力及びアーマーデザインの元ネタは流星のロックマンコーヴァス
コーヴァス以外にもロックマンZXのプロメテの要素もあったり
www.pixiv.net
知らない人向けに言うとこの絵のメイン二人の左がプロメテ、右がジャック・コーヴァス アーマーのデザインは分かりやすいくらいコーヴァスベース
座間子のセリフの「仲間を助けるのに理由なんて必要かしら?」はZXの「ヒトの命をすくうのに リユウなんて いるのかい?」が元ネタ
六実の技でペインヘルフレイム、グレイヴクローはコーヴァスのやつ、ヘル・ノクターンはプロメテのやつ 「楽しもうじゃないかぁ!!」もしっかり入れる
昇炎斬はゼロシリーズでお馴染みデイヤーから、フレイムアロー周りはオリジナル
六実が戦闘狂になったのは洗脳の影響とコーヴァスの力の影響が半々くらい
本作でE缶相当のアイテムを携帯治療キットにしようか携帯食料にしようか未だに悩んでる 一応今は前者のつもりで書いてる
アイスジャベリンを盾にして突っ込むって表現、元ネタ的に言えばこんな感じ
https://i.imgur.com/7ODHt4z.png
座間子のレヴィの力は本来炎属性が弱点なんだけどエグゼ仕様にして逆転させるという

何となく考えてるやつ

  • ZXのO.I.S.っぽいの*2
  • 専用技*3
  • O.I.S.専用の広範囲攻撃*4

六実ちゃんの場合は「天焦連波てんしょうれっぱ」とか考えてたけど没になりそう
名前の元ネタと違ってX8の天照波の炎属性版を前方に連発していくイメージ("照"でなくて"焦"なのはそこから)
名前の元ネタは伝衝裂波だけど読みは若干違う

余談
今回座間子に好きなように性癖詰め込んでみる 個人的な座間子のイメージがギッシリ詰まってます
読み返したら「その時」の使用頻度高すぎやしないか…?

Stage4

2週間溜め込んでようやく書き上げた、主人公が一時的に座間子になったカナチの話ですを
疲れからか、何か雑な作りになってしまう…
遅くなった大半の要因は十七実の設定が決まりきってなかったからという
今回は座間子への偏見と愛情の塊で書いてます 自分の中では座間子は純粋
BGMはメモがてらに書いてたやつがなんかNG回避してたからもう書いてるけど流星3の環境システムの電脳

恒例の世界観解説(?)
ゲームの方ではプレイヤーキャラの被ダメで使用不可になる事は無いです
ゲーム内世界ではカナチら以外にも"A.C."と戦ってる人は居る
"A.C."が率いる軍団はポリホーモや自衛隊等の"数で圧倒する"タイプの敵に非常に強い編成になっており、国防兵はあまり役に立ってないという
その反面カナチらのように"少数精鋭"タイプに非常に弱く、比較的簡単に内部への侵入を許してしまう編成になっている
座間子を助けたのもカナチら以外に"A.C."と戦ってる人の一人
ちなみに座間子の読み(故障した機械兵の件)は実は当たっていて、設定的には機械兵潰した奴=座間子助けた奴=けんまにウィルス渡した奴
自分の中では自分のキャラ当ててるつもりで書いてたりしますが恒心でそれはご法度なのは分かってるので読み手が各自解釈してください
一応設定としては変態ハッカーという設定だけはある事を言っておきます 他の設定はわざと作ってないです
正直座間子好き過ぎて恒心関係無いキャラ何度も出しそうになってる()
座間子は素は普通の女の子って感じなので虫嫌いという設定を組んでみる (個人的には)泣き顔も可愛い
オーバークロックについてはZXで言うO.I.S.に相当するシステムになる予定 詳細はまだ決まりきってない
There's no way back,the time is now for me.の一文は好きな曲の歌詞から取ってる
分かる人はGT5Pのあの曲から取ってると言えば…?
ホーネットチェイサーが木属性なのはエグゼ6のリスキーハニーのイメージ フライングインパクトは原作同様木属性

以下フレーバーテキストみたいな物
この世界は本家~ゼロ(DASHは何か違う気がする)、エグゼ・流星の世界とは違い、現実の延長線上世界観になっており、ロボットはネットワークに強依存している
そのため世界金融とかもウィルス1つで壊滅させれたりする
完全に自分専用の設定ですが、時代設定は2180年台のイメージ 多分自分の他作品との兼ね合いで前後する
"A.C."が率いる機械兵はIA-64をベースにしたアーキテクチャを使っており、150年以上前に廃盤になった設計なので作中世界ではその辺の知識を持つ人はごく一部
ちなみに普遍的に使われているのはAMD64ARMをルーツに持つ設計(現代のソレとは設計が大幅に違う為命令互換は無いという設定)
作中で出てきたウィルスのモデルはIoTウィルスの顔と言われているMiraiがモデル
作中で用いられたウィルスは廃盤になってから見つかった脆弱性を利用したウィルスであり、敵の機械兵が使うIA-64ベースの設計にピンポイントで刺さる設計
敵がIA-64ベースを使う理由は廃盤になって資料がほとんど消失されている事がセキュリティ的に好都合だったから
ちなみにけんまはその辺の知識無いですが、ウィルスに同梱されたメモにその辺の事を書いてある

Stage5

システムと愛情が合わさった結果、座間子がレギュラーメンバー化してるカナチの話
今回の文量は6278文字、167行(BGMメモ・改行込)と、かなり長い
何回か変わった結果、ロックマン11のヒューズマンの曲に決定

毎度恒例のクッソ長いあとがきゾーン
ステージ出てから座間子はどうしてるって感じだけど、救護担当として転送されてきた怪我人を担当してる設定
今回は過去作からセリフやら技やら引っ張ってきてるので全部解説

  • カナチの「オレは正義の味方でもなければ、自分を英雄と名乗った覚えも無い…」ってセリフ
    ゼロの数ある名言のゼロ4のバイル第2形態開始時のセリフ 名言だらけだからゼロコレを買え(ゼロスレ感)
  • 電の技各種
    雷光閃はX8、スクランブルサンダーは無印11、落砕牙はゼロ3、ライトニングボルトはロクフォルより 全部同じ感じの技として書いてる
  • 電の「雷鳴に慄くがいい」ってセリフ
    ヒューズマンのセリフからそのまま持ってきた 公式サイトで聞ける(3番のボイス)やで

今回は前に書いてた世界観の描写をしてみた(ポリホーモとか少数精鋭に弱いとか)
男性洗脳兵に関する設定を使うかどうかは悩んだ 一応対ポリホーモとかに駆り出される捨て駒って感じで考えてる
電が最初に出してた電撃弾はエグゼ・流星のサンダーボールのイメージで書いてます
今回は弱点不使用で倒させたかったからああいう感じにしてある 理由は特に無いけどレギュラー化出来るか?って感じ

電の言動ってあんな感じでいいの…? 艦これページ開いた事無いどころかDMM垢すら作ってないから分からん
二次創作から来てる知識を独自解釈して構成してるから多少ズレてそうな節はある

軽い世界観解説
この世界のカナチは英雄となるべく生まれた存在ではなく、元々ただのやたら強い一般人
自分の信念に従って"A.C."を追っていたらこうなっただけ
他にも不殺の信念を持っており、機械兵しか完全に破壊しないのと「無力化」って表現にこだわってるのもそこから来てる
倒された洗脳兵は傷の程度はあれど裏では全員生きてる設定(3話参照)
弱点使わずに倒したらプレイアブル化するのもカナチが傷つけないように手加減してるって設定

何となく全員にEX技(コマンドは両方チャージして地上上or下入れ同時解放)実装したいが木属性枠どうしよう
六実:天焦烈波
座間子:アイスメテオ
電:ライトニングボルト
は確定してるけど十七実はどうしよう
プリズムフォレスト?(MMBN2感)

Stage6

6話、異様なまでに長いんですよ。その長さ、なんと13746文字・362行(改行・BGMメモ込)ですよ!
これがどれくらい長いかと言うと5話(6278文字・167行)の倍以上あるんですよ。

毎回恒例のやたら長いあとがきゾーン
BGMはこのステージだけ特殊で全部エグゼ仕様
道中が"Two of Braves"
ボス戦前の掛け合いが"Distortion!"
山岡戦が"決戦!電脳獣!"
カラコロス戦が"Surge of Power!"
ステージクリアが"Enemy Deleted!"

山岡が強すぎる件 執筆ペースが遅かったのも大体コイツのせい
山岡の居る部屋に入ってから出るまでに5008文字・134行も使ってるから話の半分が山岡戦という

元祖帯刀キャラの山岡*5ですが本作ではカナチの元仲間という立ち位置で登場
実力は本編描写通り大体カナチと対等なくらい強い 多分名実共にラスボスより強いと思う
本作の山岡は"A.C."率いる軍隊の陸軍大佐って設定 なんで山岡はスーツ姿ではなく軍服姿です
BGMがエグゼで階級が大佐って言われると分かる人はこの時点でもう分かると思いますがデザインベースはカーネル.EXEになります
もちろん技もカーネル譲りで"スクリーンディバイド""クロスディバイド""アスパイアブレイク"はまんまカーネルのやつ
フミコミザンはバトルチップより なお5ではフミコミザン自体が無いもよう(ブルース固有のみ)
ラスボスより強いって言いましたけど現状作中最強の技がコイツのアスパイアブレイクという
内部的な話になるけどこの技、なんと威力550というバ火力なんですよ なお原作同様の威力(重要)
この550、なんとカナチの体力を一撃で半分以上持っていく超必殺技レベルの大技
(カナチの体力内部値は1000でエグゼ・流星の改造無し最大値と同値)
ちなみに普通にピンピンしてるのでここで活躍は終わりではないです
強さとしてはゼロ4のクラフトみたいな感じか…?もっと強いか?
漫画とかでよくある"飛ぶ斬撃"はビームサーベルみたいな剣にして"刀身自体を飛ばす"って表現にしてみる エネルギー剣だから出来る事

カナチの師匠の設定は特に無いです
別に自キャラ当ててるとかそんなんじゃなくて設定の事考えてないです
ただカナチが50年封印されてたし死んでてもおかしくない

師匠とは逆に内部的に設定がある例の部外者、また登場
7話でも出す予定
ちなみに内部的にはこの後別のゲーム(非恒心)に繋がっていく …と思う
ガチ恋してるから設定は幾つかしか出さない間接的な形で自分サイドのキャラ出して座間子応援したいんや…
一応設定かなり少なめに書いてるから各自で自分のキャラ当てれるはず

カナチが今回習得した技の"幻夢零"、どこからどう見てもX5のアレです
空中で回転して出すのはMvC仕様っぽいイメージ
内部数値は威力250を予定
ちなみに山岡戦でやってた飛び石のように突っ込んで連撃っての、あれゼロ3のメシアステップからの乱舞のイメージで書いてる
https://i.imgur.com/XCxmwRi.gif 例の乱舞(ヒッフッホッフッハッホッデイヤー)

カラコロス戦はどう見てもエグゼを意識してます
https://i.imgur.com/f1Qsox7.png (画像はイメージです)
特に試合開始の例の掛け声
カラコロスが電脳世界に引きずり込んだのは超越神力か何か
尊師語録使ったら執筆が進む進む
ちなみにカラコロス、全キャラの中で唯一行動パターンまで完成してるキャラなんですよね
https://i.imgur.com/xuatybT.jpg
モデルになったのはどこからどう見てもエレメントマン 属性変わるとことか4属性に対応したパターンあるとことか

ちなみに今回の"A.C."サイドの作戦、主目標は"カナチを再起不能にする"だから要塞こそ落とされたが目標は達成してたり
山岡を登板させたのもその辺の理由

カラコロス、本作の設定だと地球外生命体かもしれない謎の存在って設定
主食は水と少量のウラン鉱石 体内で核融合核分裂の両方が発生してる設定
カラコロスが最期に核爆発したの、核兵器ネタ及び尊師MMDの形式に従ってとりあえず爆破した
ちなみに放射能の問題はどうなのかって話だけど、一応建物の残骸及びカラコロスの死骸が全部吸収したって事で
体内から出てきたチップは放射能汚染されてないのでご安心を 中身は"A.C."に関するデータです
あと幻夢零習得フラグが無いと解析された情報からカナチのもう一つのEX技、"エレメンタルソニック"(エグゼ3のアレ)を習得させる予定

山岡のアスパイアブレイクの元ネタについてはこれ参照(カワリミマジックで避けてるのがソレ)
youtu.be

山岡、前に書いた通り陸軍大佐の設定を付けてカーネルベースでデザインしてみたら"山岡だった物"と化して全くの別キャラが見事出来上がるという

山岡の原型どこ…?
https://i.imgur.com/H9TbdqT.jpg

Stage7

6話が最長になると言ったな、あれは嘘だ(21847文字/507行)
ムツケーどころかデリュケー含めても完結まで最長だと思う
文量的にはカーランより短いくらいっぽい(手元のファイルだと行数はほぼ同等、文字数が1万文字少ない)

例の如くやたら長いあとがき

以前からずっと悩んでた自キャラを出したくても出せない悩み、千刃剣魔の登場で全部解決したわ
千刃剣魔を剣キャラのロボットにしたら色々設定面に融通がきいた
個人的な設定(ガン無視二次創作可)は"中身サイバーエルフ"は座間子が持ってる端末に入ってるデータを改造した物
"身体フレーム"は民間用をベースに魔改造した物で基盤は自キャラ(ロボット)の設計を流用した物になる
だから1/3くらい自キャラ(謎理論)
ワイ「ちょっと待て、千刃剣魔登場で全て解決したわ」

BGMはステージはメテオサーバー
ラスボスはアレンジ指定でワールド4のワイリー戦
脱出シーンはFalling Down

りんご飴先輩のアーマーについて
https://i.imgur.com/OUGGmMw.jpg
このアーマーデザイン、エグゼ6やった人ならすぐ分かるけどヘルムはどこからどう見てもグレイガビーストがベース
https://vignette.wikia.nocookie.net/megaman/images/3/30/Exe6_promo_gbeast.png
ここで話の本題に移る前にグレイガの設定を確認してみましょう

グレイガ(Gregar)
https://vignette.wikia.nocookie.net/megaman/images/0/05/Mmbn6_booklet_gregar_copy.png
ロックマンエグゼ6に登場するキャラクター。作中世界で発生した「プロトの反乱」という事件の後にバグが集合する形で誕生した。

ここまで書いたら勘の良い人はグレイガビーストのデザインを使ったかすぐ分かるはず
そうです、裏にバグ集合体(23)が居る事を仄めかしてました
デザインに関しては先にバグ集合体(23)が出落ちの黒幕で出る事から決定したのでバグ集合体(23)が後ろに居るなら同じバグ集合体をデザイン元にしてもいいんじゃないの?って形で決定した
バグ集合体(23)は他人を洗脳してこき使う事"しか"出来ないので最初から散々絡んできたけど実は彼女も被害者という

はよデリートされんか、バグ集合体(23)

座間子、地味に準主人公枠になってるような 愛故に例の第三者と絡めたからこそなんだろう
多分ここまで愛情が分かりやすいのは当職だけだと思う
参考程度にワイ版座間子の大まかな設定は純粋無垢で包容力のあるお姉さんキャラ

しかし他作品のオマージュ多すぎないか?
ロックマンやら悪魔城ドラキュラやらガンヴォルトやらボクらの太陽やら… やってないゲームのネタ入れるとかこの作者どうかしてるわ
ちなみに「うなヘ」は電に言わせてるイメージ 純粋なのに言われたら余計痛いやろなあ

黒幕、4話書いてる辺りから出落ちキャラにするのは決まってた 現実でもそんな感じでしょアイツ
なお名前は出してないのでセーフという理論

さて、この話の裏設定みたいなのを書こう
この話、元々ほぼオリジナルの作品*6に繋げれるように意識して書いてたりする
この話の続きの1つが自作の別の話に繋がる
更にシステム面に関しても流用が出来るように考えてて内部的には5属性以外に4属性追加する予定(うち1つはパキーンの判別用に使用)
度々出てくる例の第三者も実は言ってる作品のキーパーソンになってきたりする

本編終了後分

六実が使う弓について
名は炎弓えんきゅうゲンブレム
実体を持たないその弓は新パルの神弓に近い性質を持ち、分離・合体を自在に出来る他、弦を引く事なく矢を放てる
また、矢の質量は無いに等しいので、矢は重力に従わず真っ直ぐ飛んでいく
矢はエネルギーの塊であり、アーマーから供給されるので無尽蔵に放つ事が可能

ダーキニーちゃんの武装について
原作無視もいいとこのあの武装
作中で呼ばれる事の無い正式名称は「電磁重砲【火雷】でんじじゅうほう ほのいかづち
イデアとしてはロクゼロの闘将ファーブニルのソドムとゴモラ、ZXのモデルFXのナックルバスター、新パルの爆筒ダイナモ豪腕デンショッカー辺りがルーツ
攻撃モーションはリコイルロッドっぽい物を予定
エネルギーの刃が出るのは新パルの撃剣辺りがルーツ
アーマーの背中に付いてるエレキマン.EXEを思わせる巨大なコイルは強力な発電機兼蓄電池
アーマーの分も含め大量に要求される電力を賄う為にかなりの出力がある
初期の設定案だとレールガンの一種だったが今は電撃弾が出る設定

座間子の槍について
名は氷槍ひょうそうレヴィアタン
デザインは妖将レヴィアタンが使ってるのと似てるようで似てない
槍の先端が二又に分かれており、中央部からフロストジャベリン等が出せる
刃先のイメージとしてはモンハンのザボア棍みたいなの
本家との相違点として他にも刃を氷で形成する事が出来るので斬撃自体にも水属性を付加可能(エグゼ・流星では氷系は水属性)

BGMリスト

The Sealed Swordman "K" BGMメモ - YouTube

  • カナチ復活直後
    Theme of ZERO (From ROCKMAN X)

www.youtube.com

  • OPステージボス
    Crash Ⅳ

www.youtube.com

  • "A.C."のテーマ
    Theme of Commander Craft

www.youtube.com

  • ステージセレクト
    リベレートミッション

www.youtube.com

  • ステージスタート
    Game Start

www.youtube.com

  • 座間子ステージ
    特設ステージの電脳

www.youtube.com

  • 六実ステージ
    火事のインターネット

www.youtube.com

  • 七実ステージ
    環境システムの電脳

www.youtube.com

  • 電ステージ
    ヒューズマンステージ

www.youtube.com

  • 中ボス戦
    VS 8Boss (MMX8)

www.youtube.com

  • ボス前
    Boss Encounter

www.youtube.com

  • ボス戦
    Wave Battle (MMSF2)

www.youtube.com

  • カラコロスステージ
    Two of Braves

www.youtube.com

  • 山岡戦
    決戦、電脳獣!

www.youtube.com

www.youtube.com

  • カラコロス戦
    Surge of Power!

www.youtube.com

  • カラコロス討伐
    Enemy Deleted!

www.youtube.com

www.youtube.com

  • ヒーローテーマ(山岡)
    You're not alone!

www.youtube.com

  • ラスボス戦
    Dr.Wily Stage Boss -The Violent Slayer- 変更の可能性有

http://tsubu.ath.cx/~worldout/music/ym_rw4_lstbtl.mp3

  • ヒーローテーマ(千刃剣魔)
    Shooting Star

www.youtube.com

www.youtube.com

元ネタリスト

全般

Stage1

Stage2

Stage3

Stage4

Stage5

  • 「オレは正義の味方でもなければ、自分を英雄と名乗った覚えも無い…」
    ロックマンゼロ4のセリフ(前述)

  • 艦これ 前述の通り艦これはほとんど知らない
  • 電の武装
    闘将ファーニブル、モデルFX、豪腕デンショッカー、爆筒ダイナモ、リコイルロッド(前述)
  • 「電の本気を見るのです!」
    艦これ原作のセリフらしい
  • 「雷鳴に慄くがいいのです!!」
    ヒューズマンのセリフ(前述)
  • 落砕牙
    ゼロ3の同名のEXスキル
    https://vignette.wikia.nocookie.net/megaman/images/1/12/SaberSmashT.png
  • スクランブルサンダー
    ロックマン11の同名の特殊武器
    https://vignette.wikia.nocookie.net/megaman/images/b/bb/ScrambleThunderTraining.jpg
  • 雷光閃
    ロックマンX8の同名の技
    https://vignette.wikia.nocookie.net/megaman/images/f/f3/Raikousen.png
  • ライトニングボルト
    ロックマン&フォルテの同名の特殊武器
    https://vignette.wikia.nocookie.net/megaman/images/3/3a/MMnB-LightningBolt-SS.png

Stage6

Stage7

ムツケーで書けないような事

  • 度々登場してる例の第三者はMMInfの世界に登場する架空の企業、照宮電子の創業者の松本龍
  • 時代軸はMMInfの前、松本が若い頃の時代を想定
  • 千刃剣魔は実質ナンバーズに入る 設定的にはサーベルマンの基盤をそのまま積んでる
  • MMInfに座間子が若干絡んでくる予定

*1:ソースはジーニアス和英

*2:現段階では没

*3:現段階ではラーニング技

*4:現段階ではEX技

*5:当時山本と勘違いしてました

*6:MMInf.

*7:和訳:帰り道は無い、今この時間は俺の物だ